エリン音楽ひろば 2022年4月

オンラインRPG『マビノギ』で、2022年4月28日に開催したプレイヤーイベント「エリン音楽ひろば」の内容を載せています。

第4回、タルラークサーバーです。主催は、羊野めろさんと、わたし(シラベルカ)です。

このページで扱っている『マビノギ』のゲーム画像やゲーム内データの知的財産権は、株式会社ネクソンおよび韓国NEXON社に帰属します。© NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd.

内容のまとめ

内容は、羊野めろさんのブログ記事もあわせて参照してください。

出てきた話題・質問を以下に要約しています。主なやりとりについては、めろさんのブログでたっぷりおさらいできますので、こちらはさっぱりとまとめました。

質問のほかにも、テスト演奏が2曲ありました。最後に、インタラクション歌詞出しを取り上げたコーナーを設けました。

マビノギは17周年を迎えたけれど、みなさんはマビ歴どれくらいなんですか

これはめろさんが、つなぎの雑談として切り出した話題でした。めろさんは比較的プレイ歴が短め(で、そのことを気にしているようす)です。

復帰組もふくめて古株が多数派。βテスト時代からやっているひとも何名かいました。昔は合奏アクションがなくて……とか、そういう話にどうしても転がっていきましたね。わたしは2011年12月からプレイしています。

なめらかな奏法を表現する為、複数パートをまたいで音符を重ねるのは、方法として合っているのだろうか

たとえば、単旋律の〈ドレミ〉であっても、ドとレの音符を別々のパートに(たとえば「メロディ」パートにド、「和音1」パートにレを)配置し、レの発音時にもドの音符をすこし(あるいは充分に)引っ張る、という話です。ピアノロールでこれを示すと、画像1の、2小節目のようになります(画像1と画像2はシーケンサーソフト「Domino」の画面)。音が重なるぶん、次の音のアタック部分がちょっとぼやけることを狙うわけです。

画像1:ピアノロールで、音符を伸ばして次の音符に重ねた例

1小節目の例みたいな単純なベタ打ちでレガートになればそれでいいのですけれど、音色やテンポなどによっては、アタック音が立ちすぎることがあります。

本物のピアノの場合、ペダルを使うことで、鍵盤から指を離したあとも音が伸ばせます。マビでそういう奏法を再現しようとする場合は、複数台のピアノで合奏して最大発音数を増やすことになります。ピアノが主役なら、そういう繊細さも欲しいところですけれど、たとえばバンドのような編成で、ピアノの減衰音がほかの楽器の音に埋もれるような場合は、1台で鳴らせる範囲でやりくりすれば充分なことが多いと思います。

1台で響きをふくらませるかんたんな例をもうひとつ挙げます。画像2のように、〈ドミソミドミソミ〉という分散和音を8分音符間隔で弾くとして、1小節目(左)だとちょっとパリパリする場合は、2小節目(中)のように、1音ごとに交互に別パートに配することで、4分音符の長さで鳴らせます。場合によっては3小節目(右)の例のように、3パートで分担させてもよいでしょう。MMLの文字数の節約になることもあります。

画像2:ピアノロールで、アルペジオの各音をできるだけ伸ばした例

こういう音符の置きかたは、ピアノに限らず、リラやハープ、あるいはマンドリンなどでも有効です。マビで鳴らせるピアノやリラの音色は、減衰が早く、画像2の1小節目のように音符を置くと、乾いた寂しい鳴りになりやすいようです。減衰が多少伸びるハープで代用する(またはハープを薄く重ねる)手もあります。

フルートなどのような、アタックがとんがっていない持続音であれば、装飾音的なごく短い音を小さく挟んでなめらかにする、というパターンもよく使います。

(直前にテスト演奏したひとに)どうしたら○○さんみたいに上手につくれるようになるでしょうか

こういう質問って、聞かれても具体的には答えづらいものだと思います。ある漫画家のかたも、その手の質問のお便りに答える形で、このようなことを書いていました。もし歌手に「どうやったら歌が上手になれますか」と聞いたら「練習することと歌を愛することですね」と答えるはず、絵だっておんなじです、絵が大好きで毎日描いていれば、きっと上達します――と。これに尽きると思うんですよね。ただ、我流だと上達が遅くなりがちとか、そういうのはあるかもしれませんけれどね。

うまくつくる為のヒントが転がっているのが、エリン音楽ひろばですし、つくったものを、見てもらう・聴いてもらう機会があるほうが、励みになって上達も早くなると思いますので、エリン音楽ひろばでどんどん相談や試演奏をしてみてくださいね。

演奏のお供にインタラクション特集

めろさんが最近、インタラクション歌詞出しを実践したので、それにあわせて今回の特集のお題は、「インタラクションでの歌詞出し」でした。

演奏会で「歌詞出し」をするひとは何人もいますけれど、インタラクションを駆使してペットやパートナーの吹き出しから歌詞を出すのは、2019年9月以来長らく、シラベルの専売特許のまま、普及しませんでした。おそらくみんな、シラベルのまねなんかしたくないよなーという感じなのでしょうけれど、たしかにインタラクションでの歌詞出しにも利点と難点とがありますから、やはり通常のチャットの手法を採りたい、という向きもあるかと思います。

やりかたがわからない、なんだかめんどくさそう、というひともいるかもしれませんけれど、やりかたは、当サイト内の記事で詳述しています。でも、この「詳述」というのがやっかいなもので、(一部の)世間では「TL;DR」というおそろしい略語も使われているくらい、長文は忌避される傾向があるようです。

そういったわけで、エリン音楽ひろばで実演をしつつ紹介をするのも、導入篇としていいのではないかということで、企画に至りました。

マビノギのインタラクションと歌詞出しのページの、基本的な部分を中心に再構成した内容でした。やりかたの説明については、そちらの記事をぜひ参照してください。

今回のこの特集に向けて、なにをどこまで、どういう順序で取り上げるか、どれを優先してどれをオプション扱いにするか、なにをみんなでやるか、主催間で打ち合わせを重ねて詰めていきました。まともに取り上げると説明文だらけになるけれど、単純化しすぎるのも危険なので、バランスが難しいところでした。もともと、次のような流れを予定していました。

  1. インタラクション歌詞出しを実演しながら、利点・難点と思われる要素を説明
  2. インタラクションメーカーでかんたんなインタラクションをつくり、ペットにしゃべらせてみる
  3. 歌詞出しするときのペットの扱いについて(休憩させるなど)
  4. インタラクションを起こす為のチャットを隠す方法
  5. 歌詞出しするときのペットの扱いについて2(一部のペットの注意点など)
  6. インタラクションファイルをテキストエディタで直接編集
  7. パートナーを使うとさらにいろんなことができる
  8. みんなで歌詞出ししてみよう

前回の幻想のコーラス特集のときは、参加者みんなが知ってそうなことをちょっとまどろっこしく説明しすぎたかな、という感じだったので、今回は、臨機応変に内容をすっ飛ばせるように台本を整備して臨みました。実際やってみたら逆で、「ペットにインタラクションを適用してしゃべらせる」までの部分で手こずってしまいました。インタラクションにくわしいかたもいて、助け舟を出していただいてありがたいことでした。そして結局、ファイルの直接編集などの濃いめの話は、時間が足りなくてカットしました。4項目めの「チャットを隠す方法」が肝で、そこまでは取り上げられたから、よしとしています。

画像3:インタラクション歌詞出しの演習中

最後はみんなでインタラクション歌詞出しの実践です。童謡「あめふり」を合奏しながら、わたしは歌詞全文を出し、ほかのみなさんには「ピッチピッチチャップチャップランランラン」のところで出してもらいました。「ピッチピッチ……」の直前にシンバルを鳴らして、合図としました。画像3は、その演奏のようすです。肝腎の吹き出しが非表示になっているスクリーンショットでは、雰囲気が伝わりにくいですけれど、吹き出しを表示するとキャラ名も映ってしまうから仕方なし。

ふつうのチャットでやる場合も、インタラクションでやる場合も、演奏にあわせて次々と順番にチャットを入れていかないと歌詞出しになりません。順番にチャットを入れていくスムーズな方法については、今回の特集では扱いませんでした。マビノギのチャットと歌詞出しのページにて、方法の紹介をしています。

スクリーンショット集

画像4:開会前

開会数分前のようす。ダンストラックに合わせて、パートナーキャラと踊りまくりのシラベルカ。本番前に会場を温めつつ、後半のインタラクション特集に先駆けた実演も兼ねたつもりでした。いつもながら、頑張るポイントがずれている感じ。

画像5:テスト合奏中

以前のひろばで、合奏をつくりはじめたら9人に膨れあがって……という話をしていたかたが、その作品を試演奏。こういう〈前回のつづき〉的なものがあると、主催としても回数を重ねていく励みになります。

画像6:テスト合奏中

別のかたも試演奏しました。女声に小さい音をどう付加すると自然なディレイ(またはビブラート)に聴かせられるか、というところで悩んでいるようでした。

画像7:エンディング

ペットもまじえての記念撮影とともに、エンディング曲。みなさんありがとうございました。特集コーナーが長引いて、今回も0時をかなり超えてしまいました。