ルート56

シラベル作曲「ルート56」の紹介ページです。

動画

2024年5月11日、オンラインRPG『黒い砂漠』で行なわれた、運営チーム主催の「そよ風演奏会」の公式生配信動画です。

9周年記念!美しい旋律が吹いてくる🎼そよ風演奏会【生の砂漠】【黒い砂漠】 - YouTube(外部リンク)(53分11秒時点から)

まず、「そよ風演奏会」の説明から。2週間くらい前の告知で、自作曲限定、テーマの縛りなしで作品が募集されました。応募方法は、ゲーム内の演奏コンテンツ「音楽アルバム」に、応募要項に則って自作曲を載せるだけ。締め切り後、運営チームの審査で曲が選出され、当日のイベントで、作者(と合奏メンバー)が演奏、GM[ゲームマスター]の皆さんたちの司会でそのようすを生配信。――というものでした。土曜夕方16時からの開催という、会社勤めにはなかなか厳しそうな時間帯にもかかわらず、大勢のプレイヤーが見に来ていました。

15組の演奏がありました。わたしは7番目の出演でした。ここに載せた埋め込みプレイヤーとリンクは、わたしの番の53分以降から再生されるようにしてあります。でも、最初から全篇通して観ていただくほうが、演奏会の雰囲気や流れもわかっておもしろいと思います。舞台後方へ突っ走って消えるキャラの姿がたびたび見えるのは、混雑による表示のエラー、位置ずれだと思われます。

終盤、放送内で受賞者の発表があり、わたしも賞をいただきました。動画を同時に見ていなかったから、ゲーム内の現場ではおめでとうというチャットが飛び交うだけで状況がわからず、なんだか知らないけれど佳作賞かなにかもらったのかな、なんてぼんやり思いながら仔羊のようにちぢこまっていました(初心者なので)。なんにしても、10年間マビノギで演奏していてもこんな晴れがましい舞台はついぞなかったのに、黒い砂漠のプレイを始めて3週間かそこらでこういう経験ができたのは、ありがたくもふしぎな気分でした。

個人的な話

2024年4月、ひつじーのさん(『マビノギ』のエリン音楽ひろばでもお世話になっている羊野めろさんの、黒い砂漠でのキャラ名)に中古のデスクトップPCをゆずっていただき、そのおかげで(高スペックを要求される)黒い砂漠のプレイができるようになりました。それで作曲者コメントのなかにひつじーのさんへの謝意を添えたのですけれど、個人的なことをあえてコメントに入れた真意は別のところにもありました。以前の運営チーム主催の生放送イベントで、ひつじーのさんは何回か演奏に出演していて、毎回のように(機材トラブル的な)ミスを「やらかし」ていて、みんなからもGMからも〈やらかしひつじ〉として認知されてしまっているらしく、当人の受け止めは別としても、わたしにとっては気の毒でならず、その汚名を代わりに返上できたら、というぐらいの気持ちで舞台に上がる(ので皆さん、やらかしひつじと呼ばないであげて!)……ということを伝えるのが、わたしにとっては曲の解説より重要でした。でも、こんなことをことさらに書くと逆にわざわざ強調して蒸し返すみたいになってしまうから、迷ったあげく結局触れずに、無難なコメントにしておいたのでした。放送を見ると、やはりそこまで行間を読んでもらえたふうでもなく、やはり省かずに全部書いておいたほうがよかったかも……とかまあ、そんな思案の過程はさておき、この演奏でひつじーのさんへの恩返しになったかなと思っています。

作譜上の話

演奏システムについて深く理解するには時間が足りなかったので、ひとまず楽器ひとつに焦点を絞って、ベロシティによる音色変化の境目を確認したり、おなじ高さでおなじ強さの音符がつねにおなじ波形で鳴るのか、それとも代わる代わる別のサンプルが再生されるのかなど、マビノギと違いそうな特徴を軽く探ってから作譜しました。

「フローケストラタンドラム」という、スティールパンっぽい音色の楽器がなんとなく気になったので、この楽器を用いることにしました。まだ合奏のやりかたも知らなかったから、ひとりで弾ける編成にしました。黒い砂漠でみんながどんなふうに演奏しているのか、傾向というか文化というか常識というか、そのへんも詳しくわかっていなくて、むしろそんな状態での恐れ知らずの作譜だからこそのおもしろさが現れることを期待しながらつくっていました。実際、この楽器でのソロは珍しかったようですし、「そよ風演奏会」のなかでソロ演奏したのもわたしだけでした。

マビノギと違ってソロでも同時発音数が多いので、音域内(A2からE6まで)に収められれば、メロディと伴奏とリズム楽器とを両立させることは充分可能だと見当をつけました。リズムを刻む音が馬の駆け足[ギャロップ]のようになりました。「64分音符の低音の直後に、おなじ高さの音符を小さな音量で置いて、リリースを切る」ことで表現しています。昔のマビノギでも、ときどき使っていた手法でした(いまのマビノギの仕様ではもう使えない)

曲全体をひととおりMIDIデータとしてつくって、「Domino」で表示したピアノロールの形を模写するみたいにして、ゲーム内の作曲ウィンドウに音符を入れていきました。

曲のあらまし

オンラインRPG『黒い砂漠』の演奏会(「動画」の節で詳述)に応募する為に書いた曲です。2024年5月作曲。

このゲームでは、キャラクターのレベルを56まで上げることが、ゲーム進行上、当面の目標となります。以前は、シャイという種族[クラス]でキャラをつくり、レベル56以上に育てないと、演奏すらできなかったそうです。わたしがプレイを始めた2024年4月ごろのアップデートで、そういう制約も大きく緩和されたようですけれど、なにがどのように変わってどこが変わっていないのか、初心者だと全体が把握しづらいし、どっちみち早めにレベルを上げておくほうがいい、と聞いていたから、寄り道プレイはほどほどにして、それでもやっぱり寄り道しつつ、とにかくレベル56を目指しました。

黒い砂漠での最初の作譜として、また、演奏会の応募作として、ゲームでの経験をテーマに結びつけた曲が似つかわしいと考えました。キャラを育てる日々、レベル56への道のりで思い出すのは、馬に乗って西へ東へ駆けめぐって、視界を流れていったさまざまな景色です(おつかいクエストが続くつらさ、価値がわからないアイテムでカバンがいっぱいになって頻繁な整理を要するつらさ、については思い出さないことにします)。その長い旅路を記念する曲、ということでこのタイトルをつけました。

スティールパン系の音色を用いて、できそうなことや思いつくことをいろいろ継ぎ合わせていった結果、カリブ海の音楽とブルーグラスとをごちゃまぜにしたような曲展開になりました。いくつかのメロディを変奏させて、メドレーのように聞かせています。

当サイトではマビノギの演奏システムを使った作品をたくさん載せています。黒い砂漠については、どうするかまだ決めていません。作譜データはゲーム内でつくり、暗号化された(?)バイナリファイルとして保存されます。ほかのソフトでは意味あるデータとして読み書きできないので、サイトに置いたところで、ゲーム外ではなんの役にも立ちません。(自作曲の)ゲーム内演奏を録音したオーディオファイルを当サイトに置くかどうかは、今後の活動規模によって、検討しようと思います。

作品データ

曲名表記
ルート56
曲名かな書き
るーと ごじゅうろく
作曲
シラベル
発表日
2024年5月8日