エリン音楽ひろば 2022年9月

オンラインRPG『マビノギ』で、2022年9月1日に開催したプレイヤーイベント「エリン音楽ひろば」の内容を載せています。

第6回、ルエリサーバーです。主催は、羊野めろさんと、わたし(シラベルカ)です。

このページで扱っている『マビノギ』のゲーム画像やゲーム内データの知的財産権は、株式会社ネクソンおよび韓国NEXON社に帰属します。© NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd.

内容のまとめ

内容は、羊野めろさんのブログ記事もあわせて参照してください。

出てきた話題・質問を以下に要約しつつ、若干の掘り下げをしています。

はじめにテスト合奏がひとつありました。ほか、リクエストを受けてめろさんの近作が1曲演奏されました。後半で、パーカッションの表現について、実例をまじえて紹介するコーナーを設けました。

(シラベルに)歌詞書く時に、何かこだわりとかあったりしますか。場所とか道具とか天気とか……

行きつけのカフェでワンドリンク注文してノートPCひらいてざわめきのなかでインスピレーションを待つ……なんてことはしません。時間を決めて取り組むというわけでもありません。天気も関係ありません。ふつう自宅で書きますけれど、こだわりでそうしているわけではありません。

曲の音源を部分的にしつこくリピート再生しながら、メロディに合う言葉を石にかじりつくくらいの気持ちで探すことが大半です。就寝時などに考えを練ろうとしても、可能性がいくつかぼんやり浮かぶだけにとどまり、なにもまとまらないまま寝てしまいがちです。

たまに、一節のメロディとともにふと思いついたり、怒りや不安に支配されているときに言葉がこみあげてきたりすることもあります。そういうときに素早く書き留めておいても、結局それっきりになることもあるし、書き留めないでいても、胸のなかでしぶとく居座って、やがてほかの着想と組み合わせて歌に結実することもあります。

手書きすることが日常的に少なくなったいまでも、歌詞を練るときは、ルーズリーフなどの紙にボールペンで書きます。メロディ譜(五線譜ではなくてドレミ記法とコードネームによる素朴なもの)も同様に紙で残します。「自分がつくった証拠」としては弱いのかもしれませんけれど、デジタルのテキストデータよりはましかな、と。推敲の跡もちゃんと残します。こだわり、というよりは習慣に近いかも。子供のころは広告チラシの裏に書いていたこともありました。いまも保管しています。

あらかた仕上がったら、テキストデータにして、活字での字面を確認して、漢字・ひらがなの選択などを再吟味する、というのが最近のパターンになっています。

手書き原稿については、歌詞ではないけれど、ドレミ記法でメモした譜面の画像を、かつてツイッターに載せたことがあるから、そのツイートへのリンクだけ張っておきます。こういうのをウェブ上に載せることには抵抗がまだあります。書き文字になにかしら魅力があれば、公開する価値も見出せるところなんですけれど。

演奏中に、演奏曲や演奏メンバーとまったく関係ない雑談をされると楽しくなくなる。みなさんは、こういう場合にどう対処されますか

具体的に体験談を語っていただけたら、わたしとしてはコメントしやすかったのですけれど、とりあえずわたしがイメージできるそういう場面というのは、演奏中に客席かその近くで、「ナントカさんこんばんはー」「おひさー」みたいな個人間の挨拶があり、そこから近況などの私語が長々と続く、という展開。挨拶くらいならOKでしょう。そのあとの部分が長引くならオープンチャットでは控えるべし、というのが平均的なマナーかと思います。(会場がダンバートンの場合は、周囲をたまり場にしているひとたちの、そういう会話がよく混入します。もちろんそれは仕方ありません。)

大きめの地震があったとき、「こっちでも揺れたー」「みなさん気をつけてね」などというやりとりがしばらく交わされることがあります。そこで「演奏中はお静かに」と注意するのも、あんまりでしょう。

だから、内容によると思うのですけれど、みなさんの回答としては、気にしない(ようにする)、という声が多かったように思います。シーンと静まりかえっているのも寒いですしね。

雑談が出るということは、自分の演奏で惹きつけることができていないだけのことだから、もっと精進しようと思うだけ――という意見もありました。届ける側の心構えとして美しいですけれど、多くの場合は、演奏内容がどうというよりは、相手のマナー・気遣いの問題かなあ、と。

また、そういうのがいやなら、私語禁止の演奏会・リサイタルを主催するしかない――という意見もありました。現行の定期演奏会はいずれも基本的には、みんなで集まって演奏したり聴いたりして楽しもう、という趣旨ですから、がちがちに縛るよりは、若干のゆるさを意図的に保つ方向性のように見えます。来場者の鑑賞の態度に関して、あまり多くを望まないほうがいいでしょうね。現状の演奏会を見ている限り、特定のひとの出番で毎回決まってそういう邪魔がはいるということは考えられませんから、今回はたまたま運がなかった、べつのところで今度また弾こう、というくらいの気持ちでいるのが、対処法のひとつかもしれません。

チューニング楽器とは何ですか、どこで入手できますか?

最近のマビ、新規プレイヤーはほとんどいない(?)けれど、復帰組はけっこう見かけます。質問されたかたも10年ぶりに帰ってきたそうです。

チューニング楽器は、2017年に実装された、4種類の楽器です。それぞれ固有の音色を持っています。既存の楽器のパワーアップ版というより、新規の別楽器、と捉えるほうがわかりやすいでしょう。マビノギの楽器の詳細のページの、チューニングフルート、チューニングホイッスル、チューニングバイオリン、チューニングチェロの項目を参考にしてください。

マス音楽ダンジョンで得られる「チューニングキット」とフルートなどの楽器を素材として、ハンディクラフトで製作することで入手できます。問題はひとえに、チューニングキットの入手確率の低さ、プレイヤー間取引での供給の少なさです。ひろばでのトークも、チューニングキットにまつわる泣きごとが中心に……。

これからMMLを書いてみるにあたって、必要なものはあるでしょうか

ゲーム内の作曲スキルウィンドウでも、ボタンを押すことで直接MMLが入力できます。とはいえ、お世辞にも使い勝手はよくありません。HTML(ウェブページを記述する為の言語)がメモ帳でつくれる、というのと同レベルの意味で、MMLも、メモ帳やテキストエディタさえあればOK、と主張することもできますけれど、音が出るソフトを使うほうが便利に決まっています。

そういうわけで、回答としては、「Mabiicco」というソフトを使ってみてください、ということになります。ピアノロールに音符を置くことで、MMLが自動生成されます。「3ML Editor 2」は、かなり昔のソフトですけれど、MMLを直接タイピングできるひとに最適です。どちらもフリーソフトです。これらのソフトと、マビのプログラムフォルダ内に含まれる音源ファイル(「MSXspirit」という名前を含む、拡張子が「.dls」のファイル)さえあれば、マビノギMMLを書く環境は揃います。ひとによっては、MIDIシーケンサーなど、いろんなソフトを援用したりもします。

ところが、ひろばでは、必要なのは情熱だ、とか折れない心だとか、精神論みたいなことのほうを、みんな懸命に語っていたような気がします。それもまた、ニューカマーを応援したい気持ちのあらわれということで。ひろばの主催者としても、より多くのかたがマビノギMMLに興味を持って、演奏界隈の裾野が拡がっていけば、うれしく思います。

特集・既存の楽器でいろんなパーカッションを鳴らしてみよう

前回は、エコーや疑似リバーブについての実例を紹介しました。今回もどちらかというと、やや中級から上級向けの内容になりました。音色づくりの一種として、いろんなパーカッションの音を模した演奏と、その方法について紹介しました。

前回よりすこし分量をへらす、という当初の予定に反して、台本が膨らんで、これはもう削れないなあ、ということで、ミニ講座のコーナーといいながらも、後半1時間程度をたっぷり充てるという時間配分にしました。もはやミニではありません。


パーカッションとは打楽器のことです。ただし、指す範囲として一般的に、ドラムセットは除きます。CDのジャケットや歌詞カードや動画のスタッフロールなんかで、演奏者一覧が書いてあって、「Drums : だれだれ」「Percussion : だれだれ」というような記述をよく見かけます。ドラムとパーカッション、両方できるミュージシャンもいるにしても、どちらかというと分業制のイメージが強いですね。

マリンバやシロフォンなどのような、メロディが担当できるパーカッションもあります。ギターだってボディのところをノックすればパーカッションになりますし、人間の体も、まな板も、水も、なんでもパーカッションになります。楽器をそれぞれの種類に厳密に分けることはできません。今回の企画では、リズムを刻む楽器一般、という扱いで何種類かパーカッションを紹介しました。実演したのは以下のような例です。

わたしのMMLとめろさんのMMLと、織りまぜて実演しました。この特集の為に用意したMMLが大半でしたけれど、リュートのバスドラムとハイハットについては、「アイヤ・マタレイのテーマ」を、木魚については「音符のない楽譜のお葬式」をそのまま例として紹介しました。

パーカッションっぽい音色のつくりかたの手法は、そんなにたくさんのパターンがあるわけではありません。

音の鳴り始めのところだけ強調し、音高感(ドレミとして把握できる響き)を薄めるのがポイントとなります。

「複数の楽器を……」というのは、パーカッションに限らず、音色づくり全般に共通するので、いちおう記しました。今回は、大太鼓とマンドリンによる合奏を除いて、単体の楽器での例を取り上げました。

どんな音形で入力するのかをピアノロールで視覚的に示す為に、お絵描きチャットを4枚用意しました。また、サポート役のかたに、パーカッションの実際の画像をもとにしたお絵描きチャットを用意してもらいました。わたしやめろさんにとってはありふれたイメージのパーカッションでも、なにそれ知らない初耳、という名前がけっこうあるらしいというのが、打ち合わせでわかったので、パーカッションそのものの説明も、なるべく大事にしました。

クラベスやギロは、ラテン音楽のパーカッションです。クラベスは拍子木。ギロは溝が刻まれた筒を棒でこする楽器。また、ハンドクラップは手拍子のことです。

ひととおり紹介してから、参加者のかたからもちょっと実例を出していただきました。

画像1:特集コーナーの締めの合奏

締めとして、「エリン音楽ひろばのテーマ」のメロディとともに、今回取り上げた例を全部いれた、にぎやかなバージョンを合奏しました(画像1)。9人合奏。リュートパートの譜面にミスがあって、直してはいたのだけれど、修正前のMMLをうっかり用いてしまって、ちょっとへんな音になってしまったのが心残りというか反省点。このバージョンの(当サイトでの)公開予定は、いまのところありません。

実演中の説明にあたって、チャットで「L64v15cr9cr9……」などとMMLの中身を述べても、へえー、で終わるか、意味がわからないかになるので、吟遊詩人掲示板に実例のMMLをいくつか掲載して、自由に試聴・お持ち帰りができるようにしました。当日参加できなかったかたも、興味があればチェックできるように、数日のあいだ載せっぱなしにしました。いまは削除済みです。べつに出し惜しみしているわけではないけれど、やはり基本的には、足を運んでくださったかた向けの公開ですので。吟遊詩人掲示板の活用は、今回のあたらしい試みでした。


これからもこういう企画がやれればと思います。でも、質問・相談・テスト演奏がひろばの軸であり、ミニ講座のコーナーをあまりふくらませるのは本筋ではないと考えています。30分かそこらのボリュームがちょうどいいかな……。サーバーを2周して、だいぶ板についてきたし、次回からはいろいろ変化もつけてみようかと思います。

スクリーンショット集

画像2:開会前

画像2は、開会10分前、BGMを流しているときのようす。新作もひとつ投入しました。BGMだから「ぱちぱちぱち」はとくに要らなくて、雑談に興じていただいてたらいいのですけれど、ぱちぱち無用、とわざわざいうのも妙ですしね。

画像3:オープニング演奏

オープニング曲は、ミニ講座のパーカッション特集にちなんで、めろさんがつくったパーカッションパートを足して、3人で弾きました。めろさんが台本をトチって「司会はわたくしシラベルカと」なんていうから、そしたらわたしはだれなのよ、という感じで、今回も息がぴったり(?)。

画像4:質問コーナー始まり

この日は、30人くらいお越しいただきました。2回目以降は漸減傾向なんだろうな、と悲観的になっていたので、これはうれしいことでした。まあ、みなさん演奏会で見知っているかたたちだったんですけれどね。わたしにとってルエリはとくに顔なじみが多い感じ。なごやかに進行できてよかったです。みなさんありがとうございました。

画像5:テスト合奏

画像5は、テスト合奏時のようすです。ドラムの入力が苦手なかたも案外多いのかもしれませんので、そのへんの話もまた取り上げられたらと思います。

画像6:本番中のシラベルカのインベントリのようす

画像6はちょっとおまけで、本番中の、わたしの持ちもの(インベントリ)の一部を写しました。使うかわからないぶんも含めて、楽譜を40本くらい用意して行きました。本当に綿密に進行するなら、楽譜の色ですぐ選び出せるように段取りするところですけれど、そこまではせず、位置・並び順でおおまかに管理していました。閉じている衣料カバンには、楽器を収納しています。すべて開けっぱなしにできるほど画面が広くありません。

画像7:エンディング

画像7、エンディング曲とともに記念撮影です。23時57分。ちゃんと0時までに収まってよかった。

閉会後も雑談をしていました。演奏会では、自分の番のとき以外しゃべらないので、フリートークでとぼけたりすると、イメージとのギャップがあるみたいですね。それはさておき、この雑談も含めて「学びと交流の場」です。聞き専でもかまいませんので、お気軽にお越しくださいね。