雨がやまない
シラベル作詞・作曲「雨がやまない」の紹介ページです。
宅録・DTM
歌入り音源
動画
2023年11月25日公開。
説明
2023年11月に制作。まず、(別節に載せている)マビノギMMLの内容をもとにして伴奏パートのMIDIデータをつくり、それをオーディオファイル化して、そこに歌や楽器の録音を足していき、MIDIデータを修正し、また録音し直し……というふうにして仕上げていきました。
11月4日までの成果としての試作音源を、いったんミスキーサーバーの「おとすきー」に載せました。
当サイト上にファイルを置いても、それをSNSなどでページ遷移なしに聴けるわけではないので、作品に触れてもらえる機会をすこしでも増やす為にそうしました。おなじ理由で以前、試作品をツイッター上に動画形式で載せたことがありましたけれど、もうツイッターには、そういうのを放流させるつもりはありません。まあ、SNS上ですぐ聴けるようにしたところで、実際にそれでいろんなひとに聴いてもらえているのかというと――いや、話を戻しましょう。
さて、そのあとサイトの記事書きなどでバタバタしているうちに11月もなかば、お尻に火がつかないとなかなかピッチが上がらないのは悪い癖。自分で設定していた締切ぎりぎりになんとか間に合わせました。
楽器構成の内訳について種を明かしていきます。まず、MIDIデータによるパートは、右チャンネル側のハープシコードと、ぼんやり鳴っているシンセパッド系の音、それから間奏以降に出てくるベースとドラムです。
ドラムは、アイフォーン附属の「GarageBand」で鳴らせるリズムマシン系のドラムの音色を1音ずつ鳴らしたものをレコーダーでライン録音して、それをサウンドフォント化して使いました。なんかわざわざ遠回りしているように見えますけれど、スマートフォン上で音楽制作なんてわたしにはできませんから、そのほうが便利なのです。昔のリズムマシンの、ぽんぽん、とことこ、ちーちっ、という軽めの音というイメージが、MML作成時からすでにありましたので、そのイメージに沿った音の選択でした。
ベース、シンセパッド、ハープシコードの部分は、よく使っているフリーのサウンドフォント「GeneralUser GS」の音色で。ただしハープシコードは、ソフトウェア音源「Xpand!2」で鳴らした音も重ねています。これには、いろんな音色がすでに用意されているのですけれど、ハープシコードの音色が見当たらなかったので、ダルシマーなどを使って代用しました。今回、ハープシコードの音色をどんな感じにするかという部分で、けっこう悩みました。本物らしく聞かせる必要は今回はなかったけれど、貧相すぎるのもいやですし。
ギターは、アコースティックギターではなくてクラシックギターで演奏しました。2フレットにカポタスト。もともとギターのアルペジオを意識して書いた(はずの)MMLを、またギターの指づかいに翻訳して紙に書いて、それを見ながら練習しました。つくづく譜面どおりに弾けない質だなと思いました。要所要所以外、コードに沿ってアドリブでやってしまうほうが楽なのです。手癖で装飾的な音を加えてみたりとか。
間奏にのみ、10穴ハーモニカ(Aメジャーキー:いまだにこれしか持っていない)を使いました。なんらかの効果を期待して、5テイクぶん重ねてミックスしています。マビノギMMLのほうだけでは伝わらなかったと思いますけれど、ここはハーモニカで吹くところだったのです。口の位置を変えずに吸ったり吐いたりを繰り返して和音を鳴らしているだけ、というような大胆なフレーズは、どんな曲よりも簡単に吹けるかもしれません。ただし、音を伸ばす締めの部分がちょっと苦しくて、コードが〈B7〉だから〈シ・レ♯・ファ♯・ラ〉を鳴らしたいところが、Aメジャーキーのハーモニカだと、吸うときの和音が〈シ・レ・ファ♯・ソ♯〉になってうまく合いません。〈シ〉だけ鳴らすのもあまりおもしろくない。というわけで、濁りの混じった響きになっています。間奏のハーモニカがなにを表わしているのか、そこは大事な謎かけです。
ギターも歌も、3テイクを切り貼りしています。だいたい2テイクか3テイクほどを同じ日に残して、それらのいいところを採用するという編集パターンがいまのところ多くて、本当は一発で決めたいのですけれど、実演技術が理想に追いついていません。生々しさを採るか、録音作品としてのまとまりのよさを採るか、いつもそのせめぎあいです。
この歌の場合、「わがーままの」のところで声がかすれたり、3番サビの「あぁーめーがー」のところで嗚咽ぎみのコブシを入れたり、というのも含めて、こういうふうに唄う、というイメージがあるので、歌入れの際にはそのことだけを考えます。もしかしたら「感情をこめて唄っている」ように思われるかもしれませんけれど、そうではなくて、書道でいうなら筆の運びかたみたいなものに意識を集中しているわけです。でも、余計なところで手が震えて文字のバランスを台無しにしてしまう、というようなことがまだまだ多くて……。
動画の話もすこし。一枚絵の色調を後半こっそり切り替えているのは、そんなに深い意図はないのですけれど、5分を超える曲だから変化をつけたほうがよさそうだ、とは思いました。冒頭のタイトルの出しかたも変えてみました。わたしの歌入り音源の動画は、1秒ごとに10フレームしか使っていないから、凝ったことをして動きをつけたところで、カクカクなのが目立ってしまうだけです。視覚表現はおまけに過ぎず、そっちに時間をかけられないので、凝らないように自制しているぐらいです。前作「おおきなごあいさつ」では試験的に、まばたきをさせてみましたけれど(アニメーション!)、べつに反響もなかったし、やめました。
MML
マビノギ用MMLとその演奏音源を公開しています。
6人合奏です。
6人合奏
- MMLの最終更新日
- 2022年7月9日
- 演奏音源
-
冒頭の調律部分を含みます。
- 演奏時間
- 約5分10秒
- 並び順
- 左端にハープ。前列中央にフルート。右端にリュート。後列左から、ドラム・ホイッスル・チューニングフルート。
- 備考・注記
- フルート、ハープ、チューニングフルートは要チューナー。ホイッスルを省くこともできます。
- 現仕様との適合性
- 問題なし
- 楽譜
説明
ハープの中低音域は、パッと聞いて感じられる印象以上に音量があり、音割れしやすい傾向があるように思います。本作でも、演奏時の定位や距離次第では、一瞬だけビリッとくる箇所があるかもしれません。懸念のある箇所だけ音量を下げるような文字数の余裕はもうないし、そのままにしました。
初演当時は5人合奏。メロディを担当するフルートが、ちょっと耳に刺さるようにだんだん思えてきました。音色が単調なので、このようなじっくり聴かせる曲だと、ちょっとつらい感じがあります。それで、32分音符ぶんずらしてホイッスルを重ねることにしました。音量はv5程度で、パッと聞いても存在に気づかないくらいの小ささ。大人数合奏がカジュアルになってきて、豪華な響きが求められている(ような気がする)昨今のマビの演奏会で、〈必要最小限〉の編成にあまり拘泥した演奏スタイルでやっていても、あまり得することがないので、お化粧用のパートを入れることも辞さなくなってきました。近作でのチューニングフルートの多用もその現れといえるかもしれません。ちなみにホイッスルは、プチプチノイズを回避する為に、本来オクターブ番号5に置く音符を1オクターブ下げています。オクターブ番号4以下の音域なら同音連打によるプチプチノイズが鳴らないのでした。でも、64bit改変後はノイズが出なくなったから、意味のない小細工となりました。
歌詞
雨がやまない いつかは晴れるだろうって教えてはくれたけれど もうそろそろほんとのことを 悟らないとなにもできずに終わる 窮屈なほら穴のなかで みんなして震えて雨宿り ひと晩がひと月が過ぎて 感覚が暗闇に慣れてゆく 雨がやまない くりぬき窓からずっとおんなじ景色を見てる もう飽きたよ すてきな未来 唄うだけの歌で救いは来ない 重力にあらがう飛行機 どんよりと淀む空へ消えた わがままのしわ寄せのように 一個ずつ望みを断ち切られる 雨がやまない 呼吸のくりかえしをときどき忘れそうになる もうそろそろほんとのことを 耳のそばで告げて 元気なうちに 雨がやまない ひどくなるばかりだっていうのにみんな笑顔で 上手に火を熾してみせる あんなふうに生きることができたら 雨がやまない いつかは晴れるだろうって教えてはくれたけれど 遠い過去の絵本のような 雲間からの陽射しあなたは見たの 雲間からの陽射しあなたは見たの
曲のあらまし
いまだかつてやまなかった雨はない、といわれますけれど、そう思えなくなるほど、お先真っ暗で気持ちが塞ぐこともあります。この曲を書いたときも、そういうしんどい時期でした。悲観に覆われた歌詞であっても、単語ひとつひとつがあまりネガティブに偏らないよう、バランスには気をつけました。2021年9月に作詞作曲。
作品データ
- 曲名表記
- 雨がやまない
- 曲名かな書き
- あめが やまない
- 作詞
- シラベル
- 作曲
- シラベル
- 発表日
- 2021年9月25日
関連リンク
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