エリン音楽ひろば 2026年2月

オンラインRPG『マビノギ』で、2026年2月22日に開催したプレイヤーイベント「エリン音楽ひろば」の内容を載せています。

第26回、マリーサーバーです。主催は、羊野めろさんと、わたし(シラベル)です。

当日のようすのスクリーンショット

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内容のまとめ

出てきた話題・質問に関して、ひろばでのやりとりをもとに、つらつら書いています。

シラベルさんは、演奏会のときMMLの音量を何SONEくらいにしていますか。よく音ちっさい言われるので、どのくらいの値なら聴こえるのかなーと

人間の耳が感じる音の大きさ(ラウドネス)を表わす単位に「LUFS」や「sone」などがあります。「sone」についてはよく知りません。楽曲の制作より別の分野で用いられていそうな感じがします。

ふだんオーディオファイルをつくるときに、全体の「LUFS」がいくらかを確認して、大きすぎたり小さすぎたりしているなら直しています。LUFSとかラウドネスとかについては、エリン音楽ひろば 2023年12月に出た質問のひとつ「私の演奏、音量小さいと思いますか?」のところで説明したことがあるので、そちらの記事を参照してください。

マビノギの演奏会で弾く曲の音量をどうジャッジしているか、という今回の質問に関していうと、ラウドネス値はそんなに気にしていません。曲調と楽器編成が似たようなタイプの過去曲と比べて違いすぎないかどうか確認することはあります。

もともと音量が小さめなフルートやリラを尊重して、合奏なら「フルートでv15で鳴らす主旋律が埋もれない程度の伴奏の音量」、ソロなら「リラのソロ演奏と比べたときに大きすぎない音量」を意識します。音量に迷ったら過去作をヒントにします。現仕様では「音量が大きすぎて音割れする」ということもないから、なおさら気を遣うことが減っています。特定のラウドネス値を目標にして調整するというようなことは、マビノギMMLでは難しいし、それよりも、曲によってメロディの大きさが違わないようにするのが大事で、メロディにあわせて伴奏のバランスをとれば、たいてい間違えないと思います。

演奏会でたまに見かけるのが、演奏前に「音がちいさいですので再生ボリュームを加減してもらえると」などの断りを入れてから弾く場面です。この質問もそこがポイントで、自分の曲だけなら問題ないとしても、ほかのひとの演奏とくらべて音が小さいのを周囲から指摘されるのでどうすればいいか、という話なのでした。

ソロ譜面の全体で、たとえばv1からv13までを使っていてv14とv15がひとつもない場合は、一括で音量指定を2まで上げることも検討できます。2上げると、v3からv15の範囲を使うことになります。試しにやってみるのもよさそうです。

しかし、このように音量指定を底上げすると、わずかにメリハリが弱まる可能性があります。音量指定によって実際の音量がどう反映されるかを、画像1に示しました。

画像1:MMLでの音量指定と実際の音量の変化の関係

リュートでオクターブ番号4の〈ド〉をテンポ120の4分音符で、v1からv15までそれぞれ鳴らして録音し、ノートオンからノートオフまでの区間の音量(RMS)を測り、折れ線グラフにしました。それぞれの音量が何デシベルかはどうでもよく、変化のしかたが焦点です。

それぞれの点をつなぐと直線にはならず、すこしずつ傾きが少なくなる曲線になります。すべての楽器で試してはいませんけれど、打楽器を除いてどの楽器もおそらく同じような線の形になるかと思います。(打楽器は音量に異常があるので、この記事の対象外とします。)

ほとんど聞き取れないv1が、v2と全然違うというのはMML作者ならなんとなく体感していると思います。v3、v4、とだんだん値が大きくなるにつれ、各段階の音量差がわずかに小さくなっていきます。つまり、v14とv15の変化と、(再生ボリュームを上げて聞く)v7とv8の変化とは、おなじではなく後者のほうが音量差がつきます。

「v9とv10は差があるけれど、v10以上はそうでもなく、ちょっと使いにくい」という話が出ていました。v10以上で急に振る舞いが変わるということはないものの、v10以上の指定が増えるとMMLの文字数がかさばる、という事情があります。それで、音量指定値をこまめに動かすならv9以下を中心に使うほうが、メリハリをつけるには効果的ということですね。(逆に、1ごとの落差が大きすぎる、粗すぎる、ともいえます。)

いずれにしても、こまかい表現を大事にするひと向けの話であって、v1からv3くらいの範囲を除いて「ほぼ直線的な変化」と捉えても、たいてい差し支えありません。

わたしとしては、ほかのひとの演奏を聴いている際に、相対的に大きすぎて困ることはあっても、小さすぎていやになることはないです。小さいほうが、意識を集中させて聴くことにもなります。ただ、これはヘッドホンで聴いているからそう思うのかもしれません。

当サイトに置いているMML演奏音源のうち、小音量なピアノソロ曲の例として「初夏の扉」を挙げます。この音源全体のラウドネス値は-28.2LUFSで、かなり小さめです。

初夏の扉_MabiMML.m4a[AAC]

音量指定の最大はv13どまりだから、先述のようにして音量を底上げすることはできます。……といえるのは「歌パートを除外」で文字数が増やせる機能が増えたからで、つくった2017年当時は、v9をv10にする(かわりにほかの表現を省いて文字数をやりくりする)気になれませんでした。さっき、フルートやリラに合わせて音量を、ということを書きましたけれど、ほかにもこのように、MMLの文字数制限に引きずられて小さめのバランスにせざるを得ないことも多かったのです。

ほか、幻想のコーラスソロやリラのソロで、これよりラウドネス値が小さい音源もありました。

逆に、いちばん大きいラウドネス値のMML演奏音源は-12.8LUFSでした。ただ、音量が大きめの音源はどれも64bit改変より昔の録音で、当時のほうが演奏音が大きい仕様だったので、値は参考になりません。

なんにしても、音量が小さいこと自体を申し訳なく思う必要もないし、表現を犠牲にしてまで修正する必要もありません。ということを大多数のリスナーにわかってもらえないのが、いちばん悩ましいところです。「音圧戦争」が問題にされてからもう20年か30年かになるはずなのになあ……。

ピアノだけで音の厚みを出す技はありますか

64分音符を直前に加える、疑似和音の手法を使えば、ソロでも4音以上同時に鳴らしているかのように聞かせることもできます。ただ、これはリリースが長い楽器向けの技で、マビのピアノだと疑似和音がパリパリした響きになりがちで、厚みが出せるかは微妙です。

広い音域をバランスよく使うのも大事だと思います。ベースを受け持つ低音域はどのへんを中心に使うか。おなじ〈ド〉を鳴らすにしても、オクターブ番号0と1と2とで印象がかなり違います。マビのピアノは、リュートやフルートなどより1オクターブ高くなっていることにも留意しましょう。厚みという観点なら、低い音域を重視するといいと思います。

ベースとメロディの高さが決まったら、あと1音をどのように使うか。和音の構成音のうち5度の音を省くとか、3音が同時におなじドレミを鳴らす箇所をなるべくなくすとか、アレンジの領域かもしれませんけれど、そういう工夫で豪華に聞こえもするし、ぺらぺらになったりもします。ファミコンなど昔のゲーム音楽の名作も参考になると思います。

ソロにこだわらないのなら、低音をオクターブ重ねしたり和音を複雑にしたりエコーをつけたり、いろいろできそうです。コーラスエフェクト(ピッチをわずかにずらした音を重ねてぶよぶよさせる)みたいな効果をつけるには、という質問も出ましたけれど、それはちょっと難しいので、リラやハープのような似た音色をうっすらと重ねるのが、コーラスエフェクトの代わりとなり得るかも、というところでしょうか。

男歌のエコーがうまくできなくて。○○さんがきれいにエコーさせてたのをきいたんですが、どういうふうにしたら男エコーできますでしょうか

扱いにくいナナナボイスで知られる男声。そんな男声パートのMMLを書くこともとんと少なくなったなあと思いました。それはさておき、男声の場合、小さい音量の音符を直後にくっつけるだけだと、「んなっ」と聞こえるアタックの癖がじゃまになるのかもしれません。合奏の楽器構成次第では、ほかのパートがそれを隠してくれることもあるでしょう。

きれいにエコーさせてたというその合奏は混声合唱で、男声を3人使っていたとかいないとかで、もしそうだったら、3パートを巧みに使って音符の重ねかたと音量に気を遣ってつくったのでしょう。魔法の杖のようなマル秘テクニックなど存在せず、泥臭い試行錯誤をするしかないかもしれません。……でも男声の場合はノートオフ後のリリースが長めなので、軽めの残響なら音符で細工しなくてもそのままでつきます。むしろ短く切れないことのほうに不便を感じる印象だから、男声にエコーを盛りたいとあまり思ったことがありませんでした。うーん、どんなきれいなエコーだったんでしょうね。

特集・ドラムパートをつくってみよう

ここしばらく、ひろばらしい音楽系の特集コーナーをやっていなかったのですけれど、今回はめろさんの希望で、主催側で用意したMMLにドラムパートをつけ足してもらって披露しあう、という企画をしました。

エリン音楽ひろば 2024年4月のときにもやったことがあるので、第二弾となります。

16小節程度の素朴なソロ譜面を、課題曲として事前に吟遊詩人掲示板に載せました。前回はめろさんとわたしとで1曲ずつ自作を用意しましたけれど、今回は誰でも知っている「ねこふんじゃった」と「大きな古時計」を題材にしました。めろさんがおおまかにつくって、わたしがよりシンプルめの方向で手直ししました。

前回とおなじく、こちらで用意したMMLのほうも都合にあわせてアレンジしてよい、ということにしていました。今回、ベースを加えるなどのカスタマイズをしてきたかたが多かった感じでした。テンポが違ったりもするので、前回のように全員で同時にドラムを鳴らしてみるという遊びはできませんでしたけれど、やはりつくり手それぞれ、まるで違うドラミングになるというのがよくわかる特集となりました。

特集コーナーでのみなさんの演奏風景をどどどどっと並べます。

画像2:特集コーナーの演奏風景
画像3:特集コーナーの演奏風景
画像4:特集コーナーの演奏風景
画像5:特集コーナーの演奏風景
画像6:特集コーナーの演奏風景

画像6のような激しいドラミングを急にすると、生身のからだの場合、腰を痛めるので気をつけましょう。

おしまいに、主催のわたしたちの作例も披露しました。

画像7:特集コーナーのシラベルの演奏風景
画像8:特集コーナーのめろさんの演奏風景

前回は、参考としてのドラムパートの例も吟遊詩人掲示板に載せたところ、「お手本」を聴いてしまうとどうもつくりづらい、というような声があったので、今回は事前に出しませんでした。

というわけでここに載せましょう。お題のMMLと、当日に弾いたわたしのドラム用MMLです。お題のMML(ピアノ、ハープ)のほうは、めろさんとわたしの共作扱いとなります。なお、演奏音源はいまのところ載せる予定がないので、興味のあるかたはお手持ちのMML作成ソフトに読み込んで鑑賞していただければと思います。

ねこふんじゃった
大きな古時計

スクリーンショット集

画像9:オープニング

21時30分に開会。みなさーん、もっと前のほうにどうぞー。

画像10:質問・相談コーナー

質問・相談コーナー中に、なぜか表彰台が足許からせり出してきたので、大きく手を振ってみました。告知ポスターでもスケートしましたしエリン音楽ひろばの告知ポスター集参照)

画像11:締めの合奏

特集コーナーのあと、時間に余裕があったので、合奏を1曲。「トラバース」を5年ぶりに弾きました。

画像12:エンディング

23時30分ごろに記念撮影。今回も平穏無事に終わりを迎えられました。

来ていただいたみなさん、ありがとうございます。次回はたぶん4月、ルエリで開催です。