G-Zero
シラベル作曲「G-Zero」の紹介ページです。
MML
マビノギ用MMLとその演奏音源を公開しています。
リラの5人合奏です。
5人合奏
2016年12月のMusicQアップデート以前のMMLとその音源を載せています。MusicQ以降の仕様に合わない作品なので、この曲に関しては、MusicQ以前につくったものをそのまま紹介します。
もし現在の仕様で演奏する場合、音量については、v8以上を2上げて、v3からv7を1上げるとよいでしょう。ただ、後述する事情で、MusicQ以降の環境では演奏困難です。64bitクライアントアップデート後の現在は、音の定位を散らすのも難しくなったので、ますます無理があります。
- MMLの最終更新日
- 2015年1月15日
- 演奏音源
- 別項「演奏音源」に複数掲載
- 演奏時間
- 約4分35秒
- 並び順
- 各メンバー、適当に広く散らばって。
- 備考・注記
- 演奏方法は別項参照。
- 現仕様との適合性
- 演奏はほぼ不可能。
- 楽譜
演奏音源
おなじMMLで4つの音源を載せています。意味がわからないかもしれないので、先に「説明」の項に目を通していただくといいかもしれません。
いつもの演奏音源とおなじように、各パートを録音してミックスしたものです。もしかしたら全体の音量をすこし上げているかもしれません――かなり昔の音源で、ミックス時の使用ソフトもいまと違っていて、そのへんがあやふやです。テイクAとテイクB、それぞれ、音の外れかたが異なります。
2015年1月17日の演奏会で初演したときに、自分の位置で鳴っていた音を録音したものです。ICレコーダーをつないで録音したものらしく、ちょっとノイズが乗っています。演奏開始タイミングのずれ、いわゆる「リーダーずれ」も含まれるぶん、前掲の音源より、もっとがちゃがちゃした感じに……。
合奏メンバー全員が演奏成功して――つまり偶然性を取り除いて、MML通りに鳴らしたら、「音外れなし-参考資料」の音源のようになります。参考資料ですからちょっと横着して、MML作成ソフトの「3ML Editor 2」で音を出力しました。音が外れてランダムにポロロンポロロンと鳴らされることが前提の曲であって、そのおおもとの音だけを聴くと、やや退屈な内容だということが確認できます。
説明
マビノギで楽器演奏をするとき、確率によっては「失敗」し、音を間違えてしまう場合があります。いい換えると、MMLの内容が正しく再現されないわけです(後述「演奏失敗時の挙動」の項を参照)。失敗するかどうかは演奏開始時に判定されるので、その見極めの為に冒頭に入れるのが「調律」の音です。たくさんの音符をタイをつなぎ、ポーンと1音だけ鳴れば「成功」、ドー、レド、レドー、というふうに連打されたら「失敗」とわかります。調律については「マビノギMMLの調律」のページにて、くわしく説明しています。
この曲は、その「調律」を演奏本篇に応用したものといってもよいでしょう。演奏に「失敗」して、本来ポーンと1音鳴るところでポロロ、ポロン……と鳴ってしまうのを、リラの音色を活かして肯定的に「音楽」と捉える、というものです。
2014年11月に、演奏が必ず成功する装備「ハメルンのチューナー」が登場しました。それから約2ヶ月後、楽師の間でチューナーがすこしずつ(?)普及していくなかで、あえて演奏失敗を前提にした、「反チューナー」な作品をつくったというところが、わたしのひねくれたスタンスをよく表しています。
演奏の準備
音楽知識スキルランク1のキャラで楽譜スクロールに書き込み、難易度を1級にしておき、楽器演奏スキルランクがなるべく低いキャラを集めて合奏する、というのが演奏条件です。ただし、これはMusicQアップデート以前の合奏の場合です。難易度1級で低スキルランクなら、ほとんど失敗になりましたし、スキルランクが高くても、5割か6割くらいの失敗率が見込めました。
チューナーを装備せず合奏し、なるべく5人全員、あるいは4人、演奏に失敗すればOKです。最初の1音目の直後に、ひとりずつ単独で「調律音」に相当する音が鳴らされるので、そこで失敗かどうかがわかります。または、大成功時のモーション(いわゆる「あらぶり」)が出たら、その時点で演奏成功だとわかります(これも、MusicQ以降の合奏時には該当しません)。
メンバーの位置取りは自由です。音が左右に散らばるよう、大きく間隔を空けるといいでしょう。
MusicQ以降の事情
MusicQアップデートにより、合奏時の演奏成功率がおおむね上方修正されました。楽譜スクロールの難易度は関係がなくなり、演奏者の楽器演奏スキル・音楽知識スキルのランクによって確率が決まるようになりました。そして、どれだけスキルランクが低くてもおよそ5割は成功します。つまり5人全員が失敗する確率は、最大でも50パーセントの5乗、つまり3パーセントにとどまりますし、演奏会に来るひとは演奏系のスキルランクを上げているひとが多いので、実際はもっと低確率になるはずです。ソロで演奏すれば旧来の確率のままになりますけれど、演奏開始のタイミングを手動でぴったり合わせる必要があります。もし現在この曲を演奏するとなれば、合奏アクションではなく、手動合わせによる方法を採用するしかなさそうです。
MusicQアップデートによる影響がもうひとつありまして、リラの音色が劣化した(音量が小さくなり、減衰が早くなった)ので、苦労して演奏してもスカスカな音にしかならない懸念があります。音量については、MMLの修正である程度取り戻せますけれど、減衰の早さは致命的です。
これらの理由により、MusicQ改変以来、この曲はもう演奏できないと考えていました。でも、「G-Zero R」をやってみて、手動合わせについてはなんとかなるのかな、というふうにも思えてきました。あとは、いまどき楽器演奏スキルランクが低いひとが5人も揃うのかどうかです。音色が痩せた点は、あきらめるしかありません。ハープで代用する手もあるかも。
演奏失敗時の挙動
打楽器を除く楽器の場合は、ドレミがひとつずれます。レであればドかミに、ラ♭ならソ♭かシ♭に、というふうに。ただし、ドがシになったときは、半音下のシではなくて上のほうのシになります(いい換えると、C4はB3にずれず、B4にずれる。つまりオクターブ番号は変わらない)。シからドにずれる場合も同様です。タイでつないだ2つ以上の音符に対してもひとつずつ判定されるので、ファとファをつないでいたなら、音がずれなければファ1音ですけれど、ずれてソファになったりファソになったりした場合、タイが無効になるわけです。
どのくらいの割合で音がずれるか、というのは、ちゃんと統計をとっていないのでわかりません。体感的にいえることは、ごくたまにしか音が外れないパターンもあれば、数音に1音くらいの高い頻度でずれるパターンもあるということです。ただし、MusicQ改変後の合奏の失敗時は、つねに高い頻度のずれかたになるようです。
マビノギ以外の環境でこの曲の偶然性を再現するには、確率によってドレミをひとつずらす(MMLのabcdefgの文字だけを置換する)ようにすればいい、ということになります。
曲のあらまし
マビノギの演奏システムを用いた、「偶然性の音楽」です。2015年1月作曲。
演奏に失敗したときに音の高さが時々ずれる、そのランダムな振る舞いを利用して、どういう内容になるか演奏してみないとわからない、作者自身でもわからない、そういう作品をつくりました。詳細は、MMLの節に書いています。
ここで使われる偶然性は、コンピュータープログラムによる確率分岐でしかないので、サイコロを用いての作曲とおなじように、意図や理由などというものとは無縁です。作曲者は、運河を掘って水が流れるようにしただけで、水の流れかたはなりゆきまかせ、つねに変わり続けるわけです。ただし、音が鳴る、または鳴るかもしれないタイミングは、あらかじめ決まっています。どのように音符を配置してどのような展開をすれば、退屈から免れるか、ただの雑音とならずに済むか、その点が作曲時の課題となりました。とはいえ、なにをもって完成とするかを判断する手がかりもなかったし、とにかく手探りで試してみよう、という姿勢でこしらえたように思います。
この手の作品は、偶然が起きる現場に居合わせて聴くのがいちばんであり、その結果物の録音だけを予備知識なしで聴いても、「人間の意図によらない音の集まり」でしかなく、説得力がないでしょう。そういう意味では、マビノギのゲーム内世界の法則――演奏に興味のあるプレイヤーならおなじみの法則――をそのまま活かして、偶然性の音楽に仕立てて披露できたところに価値がありました。合奏メンバーみんなの演奏が「失敗」するまでやり直す、という妙な光景が見られたのは、あとにも先にもこの曲のときだけだったのではないかと思います。
2021年に、べつの形でランダム性を取り入れた「G-Zero R」という曲をつくりました。「G-Zero」も「G-Zero R」も、無重力な感じのアンビエントな曲です。
作品データ
- 曲名表記
- G-Zero
- 曲名かな書き
- じー ぜろ
- 作曲
- シラベル
- 発表日
- 2015年1月17日
関連リンク
- ほかの楽曲紹介ページ(ランダムリスト)