エリン音楽ひろば 2026年8月
オンラインRPG『マビノギ』で、2026年8月30日に開催したプレイヤーイベント「エリン音楽ひろば」の内容を載せています。
第29回、マリーサーバーです。主催は、羊野めろさんと、わたし(シラベル)です。
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内容のまとめ
最初、質問コーナーの前にしばらく雑談をしました。この夏めろさんいろいろありましたね、と話を振って、7月のめろさんの沖縄旅行の話から始めて、8月には『黒い砂漠』の盆踊り演奏会の主催(わたしも関わりました)があり、ひとりの妨害者のせいでむちゃくちゃになった件――これはマビノギのプレイヤーにもなにかの参考になると思って取り上げました。荒らし対策に関してはマビノギのシステムのほうが長じています。ほか、マビノギでも夏まつりや演奏会や演劇イベントのマビシアターでおおわらわのめろさんでした。わたしもマビシアターとひろばが終わればひと区切り、……なんて話をしていたら30分くらい経ってしまったので質問コーナーへ。
出てきた話題・質問に関して、ひろばでのやりとりをもとに、つらつら書いています。途中、琴の演奏を聴いてもらう時間もありました。それについては後述します。
- いくらロウソクを貢いでも、ネイルが心をひらいてくれず、秘密商店が開けない
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作曲スキルランクをCに上げるには、NPCネイルに秘密商店を開いてもらう必要があります。
会話(「個人的な話」や「近所の噂」)を繰り返して親密になっていくうち、NPCのようすが「会話を止めたがっているようだ」となります。仲がよくても、しつこく話しかけられると煩わしくなるもの。この文言が出たら積極的なアプローチをやめて、1分か2分くらい時間を置いて、反応が柔らかくなるのを待ちましょう。押してだめなら引いてみろです。(チャンネル移動も有効、という説もあります。でも、それも単にチャンネル移動しているあいだに時間が経ったせいにすぎないのかもしれません。)
質問のとおり、ネイルは「ロウソク台」をプレゼントすると喜びます。ロウソク台を20個くらい持っていって、何度か話して「会話を止めたがって――」が出たらプレゼントをいくつかあげて、ちょっと間を置き、また会話する、というパターンでいけるはず。会話だけでもだめ、プレゼントだけでもだめ、なのかもしれません。
……というのが基本の方法なんですけれど、もっと手っ取り早くやるなら、いっさい会話を挟まずに「好感度ポーション」を一気に5、6個渡してから「取引」で、秘密商店が開きます。昔とちがって、競売場で好感度ポーションがほいほい買えるようになってますから、このやりかたがおすすめです。
ちなみに、「秘密商店利用券」があれば一発なんですけれど、狙って入手するのはたいへんめんどうなので、やはり好感度ポーションで充分だと思います。
- 情報共有です。人間、エルフで「空き瓶で和音合わせ」をバレスのゼダーから受けると、クエが進みませんでした
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「空き瓶で和音合わせ」は、音楽知識スキルを6ランクに上げる為のクエストです。ロンガ砂漠南の、港の近くでLロッドを使って口笛岩を出現させて、その岩が鳴らす音に応じて特定の高さの空き瓶(またはハンドベル)を鳴らすことで進行・達成できます。
古くは、種族が人間・エルフならフィリアのNPCグラニテスから、ジャイアントならバレスのNPCゼダーからクエストを受けるようになっていました。いまはどちらでもよくなっています。
で、クエストが進まなかった件についてですけれど、友達にも協力してもらって、音楽知識を7にした「エルフ」「エルフ支持の人間」「ジャイアント支持の人間」で、バレスのゼダーからクエストを受けてみたところ、問題なく進行・完了しました。
ひろばでもうちょっと詳しく状況をきいておけばよかったかなー、とも思います。もしかしたら、大昔につくったキャラクターの場合に、そういう不整合が起き得るのかもしれません。それ以上のことはわかりません。もし進行しない場合は、いったんクエストを破棄して受け直せばなんとかなるでしょう。
- ベース音を出すのはどの楽器がいいですか?
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ベースギターの代用、という意味なら、リュート、ウクレレ、マンドリンの、オクターブ番号1から2くらいの音域が活用できます。
どれがいいかというのは曲によりけりです。リュートがアコースティックベース、ウクレレがエレキベース、マンドリンがスラップベース、とたとえてしまうとあまりに雑ですけれど、そういう感じで曲調に合う音色を使い分けるといいです。
ウクレレの低音は厚ぼったくて、押しを強くしたいときに向きます。マンドリンは倍音の多い派手な音で、エレキギターの低音でパワーコードを鳴らしたようなゴリッとした響きです。ウクレレには音が伸びない欠点があるので、長い音符を鳴らすならリュートが最適です。おとなしめの音なので扱いやすいと思います。
ウクレレは、リュートやマンドリンより音量が大きいので、それぞれを聴き比べるときは、できれば音量を調整してからのほうがいいです。
音色づくりに凝りたい場合は、2種類の楽器でユニゾンさせる手もあります。たとえば、リュートにうっすらチューバを重ねると弾力感のあるベースになります。
「善よ急げ」ではコード弾きとベースをリラ1本でやっています。あまり低い音域は出せませんけれど、アコースティックベース、ジャズのコントラバスっぽい雰囲気はリラの音色が近いかもしれません。ただ、この例は特別リラで鳴らしたかったというより、少人数編成で各楽器のできることをふりわけた結果そうなっただけだったりもします。
- YouTabsっていうサービスで、曲データとか録音するとオフラインでMIDI譜面を作ってくれるんです。すごいと思う反面、ちょっともやもや感も……皆さんはどう思われるのかなーって
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先にピアノ2人合奏を実演されたあと、いまのMMLは「YouTabs」で出力したMIDIデータをもとにして、1時間でできてしまったのです、というお話でした。
YouTabsは、手持ちの音源やユーチューブの動画の音声を解析して、MIDIデータとして採譜できるウェブアプリです。開発は個人でされているようです。
複数の機械学習モデルを呼び出して解析するしくみで、つまりAIアプリの一種です。もちろん、周波数分布を計算して音符の位置と高さを割り出すような、耳コピ支援のアプリは昔からありました。ただ、倍音まで音符として拾ってしまったり、たくさんの音が重なっていると精度が落ちがちだったりもします。そこで、機械学習モデルを使ってパターンを予測して、前後の流れ、声や楽器の音域としてあり得そうな音に絞っていけば、解析の精度向上が見込める、ということだと思います。
ギターや鍵盤楽器向けのコード図表を表示したり、コード進行などの理論的な提案をしたり、といった機能のほか、編曲もできるようです。
実際に使ってみないと記事が書けないと思って、みなさんおなじみの「エリン音楽ひろばのテーマ」を素材にして採譜を試してみました。
エリン音楽ひろばのテーマ_記事用・ミニサイズ.m4a MIDIデータを、ソフトウェア音源のピアノとフルートの音色を使って鳴らしたものです。(実際にYouTabsに読み込ませたのは、エンコード前のWAVファイルです。)
もとのMIDIデータと、出力されたMIDIデータとを見比べようという魂胆で、解析と比較がしやすいようにと極力シンプルにしたのですけれど、むしろボーカル入りの厚いアンサンブルの音源のほうが、AIによる解析の本領が発揮できたのかも、とあとで思いました。とりあえず結果を見てみましょう。
音源自体はサーバーに送信されることなく、ブラウザ内で解析処理されます。そのあいだ、CPU使用率が激しく上がります。こうしてローカルでAI用モデルを動かすと、電力消費の大きさがよくわかります。資源の有効利用の為にも、あまりつまらないことをAIに注文しないようにしたいものですけれど、それはともかく、わたしの環境では、3分半くらいCPUがフル稼働した末に、MIDIデータがダウンロードできるようになりました。
画像1-1:「エリン音楽ひろばのテーマ_記事用・ミニサイズ」のもともとのピアノロール
画像1-2:「エリン音楽ひろばのテーマ_記事用・ミニサイズ」をYouTabsで採譜した結果のピアノロール 画像1-1と画像1-2は、MIDIシーケンサー「Domino」のピアノロール画面です。1-1が、上の音源をつくったときのMIDIデータです。その音源をYouTabsに読ませて出力させたMIDIファイルの中身が1-2です。
出力されたMIDIデータのベロシティや音符の長さについては、もとの音源で使った音色や音量によっても左右されるから、ここでは気にしません。その上で比べてみると、途中から音符の欠落やリズムの混乱が目立ちます。クオンタイズがかかりすぎているような感じに近いです。この記事を書いた時点では、そのへんを調整する設定がなさそうでした。それと、メロディパートが途中からぜんぶピアノ側のパート扱いになってしまっています。すぐさま使えるようなデータとはいえません。
画像1-3:「エリン音楽ひろばのテーマ_記事用・ミニサイズ」をYouTabsで解析した結果の一部・音とコードの関係
画像1-4:「エリン音楽ひろばのテーマ_記事用・ミニサイズ」をYouTabsで解析した結果の一部・ギター用コード図表など 画像1-3と画像1-4は、YouTabsの画面に出ている解析内容の一部で、曲の出だしを選択した状態での情報です。1-3では、Cメジャーコードが鳴ってて、つぎはFメジャーコードに進んでいて、ほかにもこんなコードに進行できます、などなどの情報が書かれています。1-4は演奏者向けの項目です。
ひとまずここでは、こんな感じですという紹介だけ。使うだけならとてもかんたんです。
……さて、ここでの本題は、YouTabsが役に立つかどうかではなくて、このようにツールのちからに乗っかって採譜することについての是非というかどう考えたらいいか、という点でした。
たとえば、わたしたちが文字入力するとき、IMEの予測変換機能にけっこう頼っているところがあります。写植のように、1文字1文字拾って置いていくなんていまさらナンセンスです。
それなら、音楽制作の場面でも、つぎの音を予測して提案する機能があってもいいよね、というふうに考えることもできます。提案するのと自動で採譜するのとはだいぶ隔たりがあるようですけれど、結局は程度問題なのかもしれません。
質問されたかたのような事例でいえば、どのみち手作業で整える工程がかなり必要そうでしたし、おおまかな下地をつくるのを横着することくらい構わないのではないかな、という感じはします。目指す結果がはっきりしていて、その作業過程で得られる経験がすくなく、アプリに丸投げしてうまくいくのなら、そのほうがいいかもしれません。
自分の耳でがんばりたい、という声もありました。一方で、それでも手探りで音を拾う時間が省けるのは便利という声もありました。道具は道具なので使い方次第、便利な道具を拒絶して不恰好な成果物をつくるのもいかがなものか、という意見も出ました。
ただ、いろんなふうに考えをめぐらせていると、なんだかもう、これは機械任せでOK、これは自分の手でやるべき、採譜時のヒントに使うのはアリ、曲づくりをまるまる代理させるのはアウト、という線引きが正しくできる気がもはやしません。単に自分がどのように制作すべきかという問題なら、さっき書いたような話で済みましょう。でも、みんなが制作者でもあり受け手でもある時代に、作品をつくって届けること、作品に出会って楽しむこと、それぞれの意味も価値も変わっていくのだとしたら、時短で成果物が量産できるのを喜んでいる場合ではない気もしています。いまは、量を質に転換させるのが正義みたいになってて、それもそうなのかもしれませんけれど、創作系のジャンルの場合は、もっと大事なことを問い続けていかないと、嗜好品以上のものではなくなって、退屈な文化に縮まってしまうのではないかという恐怖があります。しょせん嗜好品だよと思っているひとたちはさておき、そうでないひとたち(わたし含む)は、それ以上のロマンなりあこがれなりを失なわない・失なわせないようにしながら、テクノロジーと向き合っていってほしいです。
と、まあ、このようにAIが絡むと話が横滑りしてしまうのでいけません……。AIアプリが道具なのであれば、あくまでも「過程」を豊かにする為の道具であってほしいですね。
- 韓国のプレイヤーさんの投稿を見てたら、冒険家の印章の交換商品に商人の楽譜ってのがあったんですけど、詳しいこと知ってる人います?
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あとで教えてもらってそのツイートを見てみると……自動翻訳で『冒険者印章 商人楽譜集』となっていました。切りかたがおかしいだけで、印章商人の売っている「ザブキエルの楽譜集」のことでした。日本でも2023年から買えるようになっています。マス音楽ダンジョン産のと違って、冒険家の印章で買えるほうはアイテムの色にランダム性があります。というわけで新規アイテムの紹介ではありませんでした。
琴用のMMLの試聴
今回のひろばは、7年ぶりの新実装楽器「琴」という大きな話題があるなかでの開催となりました。楽器アイテムが実際に入手できるようになったのは数日後だったのですけれど、作曲スキルウィンドウや吟遊詩人掲示板の上ではすでに琴の音が出せるのでした。
せっかくなので琴の演奏を披露しようということで、独奏譜面をつくって、ひろばの開催中にだけ吟遊詩人掲示板に載せました。琴の話題がちらっと出たタイミングをすかさず捉えて、みなさんに試聴していただきました。春の海とかさくらさくらとかをつくればわかりやすかったとは思うのですけれど、それよりも、バンジョーのまねができるのかどうか試そうと思って、ブルーグラスふうの曲にしました。「もうすぐで水源だ」というへんなタイトルの曲です。
琴の音色とか入手方法とかについては、マビノギの楽器の詳細のページにすでに書いています。
演奏界隈が盛りあがってほしいので「みなさん琴入手がんばってください」なんて、ひろばではハッパをかけてしまいましたけれど、実際に琴の製作を目指してやってみると、たいへん忙しく、資金も時間も飛んでいきます。そのぶん手に入れたときの喜びもひとしおならいいですけれど、いまどきゲーム依存症を誘発するようなシステムなのには閉口します。あんまりひとに勧めたい道のりではありません。かといって競売場で買えば済むかというと、限られた人数の名匠が限られた個数しか毎週つくれないので、演奏家に広く普及するまで何年かかるやら知れたものではありません(ランダムボックスでデザイン違いが出たら流通するでしょうけれど、それはそれでちょっと……)。そういえばチューニング楽器も、実装してから早々にMMLをつくって演奏会で弾こうとしたら、だれも持っていなくて弾けずじまいのことがありました。琴ならなおさらだなー、という気がしています。
スクリーンショット集
顔ぶれと人数をみて、注意事項を改めてアナウンスするまでもないと思って省略して、オープニング曲のあと、さっき書いたようなフリートークをすぐに始めました。
締めの主催の合奏コーナーでは、夏や海にちなんだそれぞれの自作曲を。画像2-2はめろさんの曲を弾いているところ。わたしからは「青い海のウンディーネ」をお届けしました。
23時半過ぎに記念撮影。来ていただいたみなさん、ありがとうございます。次回は10月、ルエリで開催です。つぎでいよいよ30回目。各サーバーそれぞれ10回まわったことになる節目の回となります。衝撃発表でもしてみたいですね。