マビノギの演奏音の距離と向きと集中鑑賞モード
オンラインRPG『マビノギ』の演奏システムの解説として、演奏者との画面上の位置関係が演奏音の聞こえかたにどう影響するか、また、その変化を無視して固定化する機能「集中鑑賞モード」について取り上げます。マビノギMMLガイドの記事のひとつです。
ゲーム内では「集中観賞モード」と表示されます。一般に、芸術作品については「鑑賞」、自然の事物については「観賞」と使い分けるのが通例です。よって、ゲーム内表記の「集中観賞」は誤字、翻訳ミスだとみなして、当サイトの記事では「集中鑑賞」と書いています。
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距離
演奏の再生音量は、演奏者と聞き手(ここでは自キャラとします)との距離によって変わります。合奏であれば、演奏メンバーそれぞれの位置が別々に影響します。この節では、距離と演奏音量との関係について見ていきます。
あらまし
演奏者と自キャラとの位置がゼロ距離で重なっている場合は、自分自身で演奏したときと同じ音量になります。
「集中鑑賞モード」をオンにしたときも、ゼロ距離のときと同じ音量で再生されます。集中鑑賞モードについては、あとの節でまとめて取り上げます。
両者の距離がある程度離れると、すこし音量が小さくなります。離れれば離れるほど小さくなり、ついには演奏音がまったく届かなくなります。
音量の下がりかたについて、以前、マビノギのアップデートによるMML演奏への影響のページに、MusicQ改変後の時代はこうだったけれど、64bit改変後のいまはこうなっている、という説明を書きました。「演奏時の操作感や再生のされかた」の項に記事があります。
本稿では、いまの仕様がどうなっているかをもうすこし深く掘り下げていきますけれど、とくに演奏会になじみのないひとからすると、なんでそこまで気にするのか、ピンとこないかもしれません。
上記リンク先のページにも載せているスクリーンショットを1枚再掲します。イメンマハ公演場で演奏音がぎりぎり届く位置関係の一例です。
2人の距離が画像よりも離れると、演奏音がまったく届かなくなります。また、画像のような距離ぎりぎりならよいかというとそうでもなく、かすかにしか聞こえないレベルなので、再生ボリュームをうんと上げて聴く必要があります。
いちプレイヤーの感覚としては、演奏音がちゃんと聞こえる範囲にゆとりがもうすこし欲しいところです。ほかの会場でも、音が小さくなるからもっと前のほうに寄ってくださいと主催側が呼びかけることも少なくありません。音が届いているか神経をとがらせる場面は案外あるものです。
では、どのくらいの距離で聴くと、どのようになるのでしょうか。
距離による音量の下がりかた
いきなり要点をまとめると、以下の通りです。
- 演奏者から半径5メートル以内であれば、演奏の音量は変化しない(集中鑑賞モードのときと同じ)
- 演奏者から半径10メートル以内であれば、演奏の音量はほとんど下がらない
- 演奏者から半径10メートルよりも遠ざかるにつれて、演奏音が小さくなっていく
- 演奏者から半径20メートル以上離れると、演奏音は聞こえなくなる
演奏者との距離が0メートルから5メートルのときに再生される音量を本来の音量とみなして、「カメラアングル上で真正面にいる演奏者」が1メートル遠くなるごとに音量がどのように変わるかを、画像1-2にまとめました。
画像1-2の表の数値(折りたたみ)
- 0~5m : ±0.0dB
- 6m : +0.6dB
- 7m : +0.9dB
- 8m : +0.8dB
- 9m : +0.4dB
- 10m : -0.5dB
- 11m : -1.4dB
- 12m : -2.4dB
- 13m : -3.6dB
- 14m : -4.9dB
- 15m : -6.5dB
- 16m : -8.5dB
- 17m : -11.0dB
- 18m : -14.5dB
- 19m : -20.5dB
- 20m : 無音
いくつかの楽器で試してみたところ、結果はどれも同様でした。
「dB」は音量をあらわす単位です。だいたい6dB大きくなれば「音量が2倍になった」ことになります。ピンとこないかもしれませんけれど、ここでは数値の大小が比べられさえすればよいです。
(なお、ここでいう音量は、「ピーク値」(瞬間最大値)ではなくて「RMS」(一定時間内の平均値)です。小数点第3位以下を切りすててデータをとり、その差を計算して小数点第2位以下を四捨五入したものを、表に載せています。このページに載せているほかの表も同様です。)
音量の下がりかたは、遠くなればなるほどに急勾配になっています。
1メートルおきにしか調査できなかっただけであって、実際はもっとこまかい間隔で変化します。とくに、19メートルと20メートルの間は、ほんのすこし位置をずらすだけでかなり音量が変わります。20メートルになるとすっかり無音になります。
距離の測りかたについて
エリンの世界の雑貨屋には、ざんねんながら巻き尺も定規も売っていません。有効距離、射程距離がわかっているスキルを使えば、おおよそは測れるものの、キャラ間の距離のような任意の長さを、どこでも手軽にメートル法の単位で知る方法はなさそうです。歩数で測るくらいでしょうか。
「紙ヒコーキ飛ばし」アクションを使うと、紙ヒコーキがどれだけ遠くに飛んだかがセンチメートルの精度で表示されます。ただし、紙ヒコーキの落ちる場所はランダムです。
浪漫農場や月光島に設置物を置くときの1マスのサイズは、紙ヒコーキ飛ばしを使えば、1メートル四方だとわかります。そこで、浪漫農場や月光島にタイルを敷き詰めれば、そのタイルが1メートル単位の目盛りになります。これを利用して、さっきの表のような音量の調査ができました。このあとの節に載せているデータもそうです。やりかたについては、またあとで改めて取り上げます。
ところで、バフスキルを使ったとき、その効果が発揮される範囲を表わす円が、自分(とパーティメンバー)に表示される、という機能が2025年7月のアップデートから加わりました。二重丸「◎」のように表示されます。この円はいつも決まった大きさであり、どこでも簡単に出せるので、ものさしとして活用できます。
浪漫農場に並べたタイルで、その円の半径も測れます。
- 忍耐の歌、戦場の序曲、ヴィヴァーチェは、内側の円が半径18m、外側の円が19m少々。
- 子守唄は、内側の円が半径7m少々、外側の円が8m弱。
- 行進曲は、内側の円が半径9m、外側の円が9.5mくらい。
- 豊作の歌は、内側と外側の円の間が6mくらい。
忍耐の歌、戦場の序曲、ヴィヴァーチェを使ったときに表示される外側の円の線上が19メートル少々で、平面上でぎりぎり音が届く距離とほぼ同じです。それより半歩ほど外側になると音が消える、ということになります。
それらのバフスキルを使って、イメンマハ公演場で音が届く範囲をスクリーンショットで示します。
聞こえる・聞こえないは、あくまで集中鑑賞モードを使わないときの話だから、演奏家以外のかたは、以下の説明を深刻に捉えすぎないでください。
まず画像1-3は、舞台のいちばん前で演奏した場合です。客席はもちろん、外側の芝生のところもひととおり収まっています。ただし、二次会形式で順番待ちをする上手側の列が長くなって右の出口より外にはみ出すと、ちょっとつらいところです。
おなじ位置で、行進曲を使ったときの外側の円は半径9.5メートルくらいなので、この円の範囲内なら音量の減りがほぼない、と見当がつきます。画像1-4のようなぎりぎりの位置で弾いても、客席の中段の部分ですでに、演奏者から半径10メートルより外になっています。
こうして見ると、イメンマハ公演場の舞台と客席の雛壇との間隔も広すぎなので、もしかしたら、その間の石畳の床も、もともと客席としての利用が想定されている区域だったのかもしれません。
画像1-5、ふたたび半径約20メートルの円です。今度は位置をうしろのほうにした例です。大人数合奏ではこのくらい奥に「後列のドラム」などが配置されることも少なくない印象です。この位置で演奏すると、会場の外側の壁からちょっとでも離れると聞こえなくなります。ぎりぎり聞こえても、前の列の演奏者の音のほうがずっと大きく届くので、いびつな音量バランスになりがちです。
おなじく、今度は客席から見て左側の端のほうです。客席の上段右側はかなり遠くて音量が小さくなっているようです。右端で弾いた場合も、左右がさかさまになる以外は同様です。
最後は、演劇イベント「マビ劇」でBGMを受け持つ演奏スタッフの位置を例に挙げました。客席側の中央入口附近に密集して弾きます。円のなかに客席がすべて収まっています。左右の端がちょっとぎりぎりかも。一方、舞台裏はもはや範囲外で、役者・大道具担当は集中鑑賞モードをオンにしないとBGMが届きません。昔は舞台裏からBGMを流していたのが、64bit改変後、それだと客席に音が届かないということで、最近は客席側で弾くようになりました。
なお、舞台と客席とで地面の高さが違っています。高さの影響については次に触れますけれど、この程度の段差ならほとんど影響ないので気にしなくてかまいません。
イメンマハ公演場のほかについても、かなり昔に調べた資料があるので、あとの項で載せます。
アルペジオコンサートホールについては、マビノギのアルペジオコンサートホールのページに詳しく書いているのでそちらをどうぞ。結論だけいうと、舞台で弾いた音は、客席側のほとんどのエリアに届きません。
高さ
ペットや飛行アクションで空を飛んだとき、高度が小数点第1位までメートル表示されます。
10.0メートルより低い高さでは滞在できないので、それ以上の高さについてしか調べられませんけれど、演奏者の真上に浮かんでみると、20.0メートルで演奏音がまったく聞こえなくなりましたし、10メートル台の音量の下がりかたも画像1-2の表と同様でした。(ちなみに、ペットだとふわふわ揺れて高度がぶれるので、飛行アクションで自分で飛ぶほうが正確に測れるようでした。)
月光島では、地面の高さをいじることができます。高さ10の山をつくり、高さ10と高さ0の位置に演奏者と聞き手を置いて先述のような計測をしたら、音量の変化のしかたがすこしだけ前倒しになり、ぎりぎり聞こえる距離は17メートルでした。高さ5と高さ0なら、19.5メートルくらいでした。念の為、一般マップで高低差が大きい場所(ベルファストの街なか)でも試してみたところ、やはり聞こえる距離がすこしだけ短くなっていました。
月光島での高さ10というのが高度10メートルのことだとすれば、10メートルと17メートル少々の辺が直角で交わる三角形の斜辺は、たしかに20メートルになります(三平方の定理で、(10の2乗)+(17.3の2乗)≒(20の2乗))。
そういうわけで、ここで取り上げている距離は「高さもあわせた、3次元での直線距離」といえそうです。なんにせよ、演奏者と聞き手とがそんなに高低差のある場所に立つという状況は考えづらいし、演奏会が開催されるような場所は多少の段差や坂があるという程度ですから、ここまで気にしなくていいです。
おまけ資料
主な演奏会場で、距離を測った画像を以下にならべます。
これらは、2016年3月にツイッターに載せたのが初出です。のちにMusicQ改変があり、いったん古い内容になったのですけれど、64bit改変後の仕様とは一致しているようなので、いまも参考になると思います。このときは歩数で距離を測っていました。17歳の身長の人間キャラで1歩がだいたい1メートルです。
舞台側のキャラから10歩、そこからさらに10歩の距離を図示しています。10歩以上遠くなると音量が小さくなる、という点は昔も変わらないようです。(ちなみに、この当時「集中鑑賞モード」はなかったから、どこから音が届かなくなるのかは、いま以上に重要な問題だったはずです。)
イメンマハ公演場
イメンマハ公演場は、ある程度前のほうで弾かないと、客席の雛壇はほぼ全域、音がすこし小さくなります。
イメンマハ聖堂横
イメンマハ聖堂横の広場は、客席となる段の最前列でも、音が小さくなります。ここでも、演奏者はすこし前のほうで弾くほうがいいでしょう。
ダンバートンのユニコーン広場
よくイベントNPCが占拠しているダンバートンのユニコーン広場。道路上にいるひとには、合奏の後列の演奏音が届かないおそれがあります。前のほうに座ればかなり近い距離となります。
ダンバートン図書館
ダンバートン図書館で、奥の壇を舞台とした例。水晶が置いてあるラインよりすこし前でも、音が小さくなってしまいます。
タラ法皇庁
タラの法皇庁は縦長の会場です。だいたい4列目の長椅子よりうしろから、音が小さくなります。寄付箱が置かれている側の出入り口の部屋には演奏音が届きません。
マビランドの公演場
これらの画像を投稿した当時は、期間限定で「マビランド」が登場していました。フェスティアに代替された現在、マビランドの再登場はあり得ないので、いまさら再掲しても役に立たないし、個人的に懐かしさもさして感じないのですけれど、演奏音の届く距離に構わずにマップが設計されているらしきさまがうかがえる一例として紹介します。客席らしき雛壇には音が届きません。
左右の位置
「距離」の節では、正面(または真後ろ)の位置関係に絞って説明しました。ここでは左右も含めて、ステレオ再生の音量がどうなるかを見ていきます。
あらまし
画面上で自キャラよりも右側にいる演奏者の音は右チャンネル寄りに聞こえ、左側にいる演奏者の音は左チャンネルのほうが大きく鳴ります。羊の鳴き声や攻撃音などといった効果音でも同様で、視界の左右に位置するものから発せられる音が、そのとおりに左右から鳴らされることで、ゲーム内世界にいるという没入感が保たれます。
あくまで画面上の位置ですから、自キャラの顔の向きではなくて、視点(カメラアングル)によって演奏音の左右の寄りかたが決まります。視点を回せば、音の定位も同時に変化します。
集中鑑賞モードをオンにすると、左右差がなくなり、モノラル再生となります。集中鑑賞モードについては別節で取り上げます。
位置による左右チャンネルの音量差の表われかた
現在の仕様では、左右の音量差の表われかたに妙なくせがあります。
つぎの画像は、演奏者が何メートル奥、何メートル右の位置なのかによって、左チャンネルと右チャンネルの音量差がどのくらい変わるか、つまりどのくらい右寄りの音になるかを表にまとめたものです。
変化のしかたは左右対称です。左側であれば左チャンネルのほうが大きくなります。また、前後方向の奥と手前は、おなじことになります。だから、周囲のうち右側・正面の四半分だけを表にしています。
音が届く範囲が半径20メートルの円を描いているのが、この表からもわかります。
これらのデータは、演奏者と聞き手の立っている地面の高さを同じ状態にして調べたものです。互いの立ち位置に高低差があると、「距離」の節でも取り上げたように、数値に微妙な変化がつきます。
設置型楽器(ピアノ、ハープ、ドラム)やオルゴールの場合、左右の音量差が微妙に変わるようです。ただ、変化の傾向は同じだし、たいていの場合は0.01dB未満の違いしかないので、誤差と見なして深入りしないことにします。(MusicQの時代は、おなじ位置でもピアノ類は左右に音が寄る傾向があきらかにありました。それに比べれば無視してもいいレベルです。)もしかするとピアノ類やオルゴールには高さがあるのでしょうか。オルゴールと仕組みが同じ「マンドリンが置かれた折りたたみ椅子」のほうは、違いが観測できませんでした。
キャラの年齢(身長)、種族は影響しません。
組み合わせが多くて詳しく調べるのが難しくなるので、高さが左右の音量差におよぼす影響については、以下の説明で無視することにします。
現仕様では、俯瞰のアングルにしても、地面すれすれのアングルにしても、向きがおなじであれば違いは出ないようです。
「距離」の節でも取り上げたように、半径5メートル以内であれば音量は変わりません。それに加えて、どういうわけか、左右どちらで演奏されていようとも真ん中から音が聞こえます。5メートルよりすこし遠くなるとようやく、左右への音の偏りが表われます。
合奏するとき、演奏メンバーは舞台の上に密集するものなので、よほど間隔を拡げるのでないかぎり、多くのメンバーはすべてのパートが中央定位で、つまりモノラルで聞こえることになってしまいます。
表では、値に応じてセルに色をつけて、音量差が大きいほど暗い色にしています。眺めていると、グラデーションがすこし歪んでいることに気づきます。10メートルあたりを境に、なにやら音量の決まりかたが違っているような感じを受けます。10メートルより遠いほうは順当で、近い側のほうがすこしおかしな感じです。
さっき述べた5メートル以内の件もそうだし、「真横よりやや前方の斜め横」のほうが左右差が大きくて横に寄った音になるのもそうです。たとえば真横7メートルで鳴らす演奏音は左右差が7.4dBですけれど、7メートル前のさらに真横7メートル、45度ななめ前の位置だと11.2dBも差があります。
もっというと、5メートルから10メートルくらいまでは、それより外側にくらべて左右の音量差がやや強い傾向があって、そのくせ、真横に近づくにつれて逆に音量差が抑えぎみになっています。
このように10メートル圏内では、見た目の角度と音の定位とが噛み合っていないのです。正直、かなりの違和感があります。演奏音にかぎらず、効果音もこういう振る舞いをするので、没入感をそこねているという感を抱きます。交易中に略奪団が近くにいるときに鳴る鼓動の音は、プレイヤーに位置を知らせる役目も本来あるはずなのに、かなりまぎらわしいことになってしまっています。
マビノギのアップデートによるMML演奏への影響の「演奏時の操作感や再生のされかた」の項に、昔の仕様も踏まえた、左右の定位に関する記事があります。幻想のコーラスを使ったときに現れる模様を、半径5メートルのものさしにして説明しています。
演奏する側の観点で
さて、演奏者の立場でいうと、聞き手の位置に対して合奏メンバーをどのように配置するかで、左右の定位(パンポット)をある程度デザインします。マビノギMML単体ではパンポットを指定できません。
ある程度といっても、聞き手それぞれ、好きな位置、好きなアングルで聴くわけですから、意図どおりの左右の定位で音を届けることはほぼできません。演奏会では聞き手が客席に散らばっていて、その両端のひとにおなじ音を届けることもできません。ただし、モノラルでよいのであれば、集中鑑賞モードを使ってもらうか、合奏メンバー全員がおなじ位置に重なって弾くことで、どの聞き手にもおなじように伝えることができます。
並びをどうするかについては、以前、エリン音楽ひろば 2021年11月のページ、「内容の掘り下げ」の節の「合奏の位置取りは重要か?」の項にくわしく書いたことがあります。
ただし、その記事はMusicQ改変以降の仕様だったころの話です。いまは、モノラルで聞かれることを前提にしないといけなくなった感があります。すべてのパートをモノラルで鳴らしたときにメロディなどの大事なパートが埋もれないように、過去作の音量バランスを見直さないといけないことがたびたびあります。
そういう現状で悪あがきしても効果が薄いから、「並びはてきとうでー」というやりかたでかまわないと思いますけれど、わたしの場合はいまも並び順を事前に決めておきます。それは、てきぱきと楽譜を配るのに都合がいいというのもあるし、それとやはり、できるかぎり音を左右にきれいに拡げたい、という願望も棄てきれず、それが無理でも、このパートは中央でこのパートは横の端で、と見た目の上だけでも意図を示したい、というのもあります。
おまけ資料
左右のチャンネルをあわせて平均した音量の変化を見ると、画像2-2になります。「距離」の節に載せた音量の減りかたの表は、画像2-2の一部分、左端の列にあたります。こちらは横方向もふくめた完全版です。
10メートルより外側は、斜め45度で折り返して対称になっています。10メートルより内側はそうではありません。これも「10メートル以内がおかしい」という根拠になっています。
7メートルから8メートルがいちばん音量が大きく、いわばスイートスポットともいえますけれど、そんなに大差ないから気にしないで、とにかく「10メートルまでの距離ならほとんど音量は変わらない」と覚えておけばよいかと思います。
あわせて、片方のチャンネルだけの減少値をならべた表も参考程度に載せます。画像2-3と画像2-4、それぞれに載せた値の差をとったのが、さきほどの画像2-1の表となります。
調査方法
音量データをどうやって集めたか、その実験のしかたを載せます。自分でも追試がしたいぞというかた以外は読み流してください。
先に述べたように、農場設置物の1マスは1メートル四方です。
演奏者と聞く側の双方が、一直線に並べたタイルのいずれかの中央に立てば、両者の距離はちょうど1メートル刻みとなります。
一部の設置物は、どこをクリックしてもマスの真ん中に向かってキャラが移動するようになっています。これによって、「タイルの中央に立つ」のが簡単になり、両者の距離がきっかり1メートル単位になると考えました。たとえば「チェスボード - ホワイトマス」「チェスボード - ブラックマス」がそういう振る舞いの、常時入手できるタイルです。
こういった豆知識は、月光島ライブ会場建設記の「島の建設、会場設営」の節などにも、すこし書いたことがありました。そちらの記事では、クリックによる移動を不便にする困った挙動、という文脈で取り上げましたけれど、ここでの目的にはむしろ「タイルの中央に立つ」のが好都合でした。
そういうわけで、(画像2-5のように)タイルを敷き詰め、聞き手側をタイル上に立たせ、「自動視点」をオンにして、つねにぴったり北向きにカメラアングルを固定した上で、演奏者側を1マスずつ動かしながら演奏音を鳴らしました。
リュートやフルートのような、単調な波形が持続するタイプの音色で、長い1音のみのMMLを演奏し、それを聞き手側のPCの「Audacity」というソフトで録音します。それから、音の立ち上がりや末尾をそれぞれ揃えた上で、適切な範囲を選択して、RMS値を測りました(RMS値とは、指定区間の音量の平均値。メニューの「解析」から「Measure RMS」を選ぶだけなので難しくありません。)。
真正面でリュートで〈v14o3c〉を長く伸ばして鳴らした場合の、1メートルごとの計測値が以下です。
計測値(折りたたみ)
(「dB」はRMS値。単位は正確には「dBFS」で、0に近いほど音量が大きい。小数点第2位以下切り捨て。)
- 1m~5m : -31.3dB
- 6m : -30.7dB
- 7m : -30.4dB
- 8m : -30.4dB
- 9m : -30.8dB
- 10m : -31.8dB
- 11m : -32.7dB
- 12m : -33.7dB
- 13m : -34.8dB
- 14m : -36.2dB
- 15m : -37.8dB
- 16m : -39.7dB
- 17m : -42.2dB
- 18m : -45.7dB
- 19m : -51.8dB
- 20m : 無音
ゲーム側の環境設定の演奏ボリュームは最大です。サウンドデバイスやその設定によって結果が変わるかもしれません。とくに、ウィンドウズのサウンドの設定で「サウンド効果」を有効にしていると、音がかなり変わってしまうので、すべてオフにして、素のままの音が録音できるようにしておく必要があります。
ほかの楽器でも試したところ、RMS値の減りかたは同様だったので、法則の説明ができそうでした。そうしてまとめた成果が、この記事に載せている音量データの表です。
集中鑑賞モード
「集中鑑賞モード」は、2017年1月のアップデート(MusicQ改変)で登場した機能です。
合奏パーティのリーダーの頭上には、ヘッドホンが描かれたボタンがつねに表示されています(画像3-1)。そのボタンをクリックするとボタンが明るい水色に変わり、その合奏パーティの集中鑑賞モードがオンになります。その間、合奏パーティメンバー以外のキャラによる演奏音が遮断され、距離による音量の減少もなくなります。くわしくは、このあと改めて書きます。
ところが、2023年の64bit改変後、集中鑑賞モードの振る舞いにいくつか変化がありました。昔と現在とを比べるかたちでの説明は、マビノギのアップデートによるMML演奏への影響のページに書いています。このページではなるべく、いまの仕様だけに注目して書きます。
集中鑑賞モードの効果
集中鑑賞モードをオンにすると、
- その合奏パーティのメンバー以外の演奏音が再生されなくなる。環境設定の「演奏聴取オプション」の影響を受けない。
- 演奏者と自キャラとの距離による音量の減少がすべてなくなる。
- 演奏者と自キャラとの位置関係によらず、すべての演奏音が中央定位で再生される。
という効果があります。自キャラのすぐそばで全員が演奏しているような感じになります。
画像3-2のように、合奏パーティからやや離れた場所でも演奏音が届くようになるのが利点のひとつです。
小さくてちょっとわかりづらいですけれど、画像3-2の左側、道端にぽつんと立っているキャラがいて、そのキャラが集中鑑賞モードをオンにしています。オンにしないと、右側の奥でやっている合奏が聞こえない距離です。ふつう、このように離れて聴く必要もあまりないと思いますけれど、場合によっては役立つでしょう。
集中鑑賞モードをオンにしている間、ちいさなウィンドウが表示され、そこから「集中鑑賞モードヘルプ」が読めます。そこには『合奏パーティーの演奏以外の全てのサウンドがミュートになり、演奏者との距離に関係なく合奏パーティーの演奏を同一音量で楽しむ事ができます』と書かれているのですけれど、実際には、BGMや効果音はミュートされません。
集中鑑賞モード関係なく、演奏が流れている間はBGMの音量が自動で下がりますけれど、無音にはなりません。ちゃんと演奏が聴きたい場合は、環境設定でBGMをオフにしておきましょう。効果音(サウンドエフェクト)をオフにすると、アンコールスキルによる拍手の音なども聞こえなくなるのが悩ましいところ。お好みで設定してください。
こまかい仕様あれこれ
演奏中のオンオフ
集中鑑賞モードをオンにしたりオフにしたりするとき、以下のように振る舞います。
- 集中鑑賞モードがすでにオンの状態であれば、遠い距離で演奏が始まっても、集中鑑賞モードが機能して演奏が聞こえる。
- 演奏中のパーティの集中鑑賞モードをオンにした時点では、まったく音が届いていなかったパーティメンバーの演奏は、まだ聞こえない。それから自キャラがすこしでも移動すると、遠いキャラの演奏も含めて聞こえるようになる。(このとき、それぞれのパートでタイミングずれが起こることがある。)
- 演奏中のパーティの集中鑑賞モードをオフにした時点では、再生のされかたは変化しない。それから自キャラがすこしでも移動すると、演奏が本来の音量や定位に戻り、遠すぎるキャラの演奏は聞こえなくなる。
演奏中のパーティの出入り
集中鑑賞モードがオンのときに、合奏メンバーが演奏しながらパーティを抜けた場合、そのメンバーの演奏音も遮断されます。
逆に、集中鑑賞モードをオンにしているパーティに、演奏中のキャラが加入したら、そのキャラの演奏音も聞こえるようになります。
モードの強制解除
合奏リーダーが別マップ、別チャンネルに行ったり、ログアウトしたりした場合、集中鑑賞モードは自動でオフになります。集中鑑賞モードをオンにしている自キャラが別マップ、別チャンネルに移動した場合もオフになります。
また、おなじマップ内であっても、合奏リーダーが描画されなくなる距離まで離れると、集中鑑賞モードが自動でオフになります。描画されなくなる距離については、このあと「演奏が読み込まれる距離」の項で詳述します。
イメンマハ公演場の舞台に合奏パーティリーダーを置き、その集中鑑賞モードをオンにしたまま、自動でオフになるまで遠くに行って、オフになった位置をマーキングしたのが画像3-3です。円形ではなく、正方形の範囲になっているのがわかります。
なお、高低差だけの要因で集中鑑賞モードが切れることはなさそうです。225メートル上空に飛んでも、地上にいるパーティの集中鑑賞モードは切れませんでした。
ペットでは使えない
ペットでログインしているときは、集中鑑賞モードのボタンを押そうとしても、『召喚物は集中観賞モードに切り替える事ができません。』という表示が出て、オンにできません。
フリースタイルジャムのときは使えない
集中鑑賞モードをオンにしているときは、フリースタイルジャムの主催や参加ができません。
また、フリースタイルジャム中のキャラは、集中鑑賞モードをオンにできません。
幻想のコーラス関連
幻想のコーラスは本来、演奏者が別マップに行ったりログアウトしたりしても、演奏音がそのまま続きます。幻想のコーラスの主がパーティリーダーで、どこかへ行ってしまった場合は、集中鑑賞モードも自動でオフになるわけですけれど、そのようなとき、幻想のコーラスの再生がいつもと異なる振る舞いになります。
- 合奏パーティの集中鑑賞モードがオンからオフになったときに、幻想のコーラスを鳴らしたパーティメンバーが描画されない範囲にいるなら、幻想のコーラスの再生も止まる。ふたたびオンにしたら再生が復帰する。
- 合奏パーティの集中鑑賞モードがオンのときに、幻想のコーラスを鳴らしたパーティメンバーがログアウトしたら、パーティから抜けたことになるから、当然、幻想のコーラスの再生が止まる。
また、別マップに行ってもパーティリーダーは自身のパーティの集中鑑賞モードをオンにできます。オンにしている間は、どこにいても幻想のコーラスの演奏音が曲の終わりまで続きます。別のチャンネルに移動すると、ほかのメンバーとは一時的に別パーティになるるので、自分の幻想のコーラス以外は聞こえなくなります。
こちらも特殊な状況ですけれど、演奏パートナーのラグリンネで幻想のコーラスが鳴らされ、その演奏の最中に呼び出しが解除されたときに、呼び出し主のパーティの集中鑑賞モードをオンにしている場合にどうなるかというと……。
その時点でラグリンネの幻想のコーラスが途切れて、以後の演奏内容が再生されません。また、呼び出し解除のあとから集中鑑賞モードをオンにしても同様に再生が終わります。
もちろん、集中鑑賞モードがオフのままであれば、問題なく演奏が完走します。
ラグリンネで幻想のコーラスを使う場合は、その演奏が終わるまで呼び出したままにしておくほうが安全です。(合奏パーティをつくらずにラグリンネとだけで独演するなら、問題ないかもしれません。)
その他の現象
集中鑑賞モードをオンにしていると、「紙ヒコーキ飛ばし」アクションを使ったキャラ(自他問わず)が飛ばす紙ヒコーキが見えなくなります。このとき、紙ヒコーキを折るモーションのままに見えます。
キャラクターブロック
合奏パーティのリーダーは、パーティメンバー以外のプレイヤーキャラを「ブロック」できます。ブロックされたキャラ(とそのペット)は、その合奏パーティの集中鑑賞モードをオンにしているプレイヤーからは見えなくなります。荒らし対策の機能です。
ブロックされたキャラは、その合奏パーティの集中鑑賞モードをオンにできなくなります。また、ブロック(またはブロック解除)された側には、画面中央にメッセージが表示されます。
ブロックされたキャラが椅子アイテムを使うと、その椅子アイテムは非表示になりません。巨大な椅子アイテムを用いた妨害は過去にも見かけたことがありましたけれど、その種の妨害者がいた場合は、各自でブラックリストに入れましょう。
演奏が読み込まれる距離
さっき、描画されない距離まで離れると集中鑑賞モードがオフになる、と書きました。演奏がおこなわれている場所にあとから着いた場合どうなるかについて、ここでまとめてみます。
演奏開始時にその場にいなくても、近くに行けば演奏が再生されます。
ただし、演奏開始時にログインしていなかったり別マップにいた場合はもちろんのこと、おなじマップ内にいても、描画される距離より離れていると、始まった演奏をリアルタイムで聴けなくなります。演奏場所の近くに来て、演奏中のプレイヤーキャラが描画されたら、その時点で曲の最初から再生されます。
演奏が終わって再生も止まったとき、あとから来たひとにとっては、曲の途中でいきなり中断したような聞こえかたになります。
画面外であっても、周辺のプレイヤーキャラの位置と外見の状態は描画され、更新されています。逆にいうと、さしあたって関わりの起こらなそうな遠距離のキャラは、処理負荷を減らす都合で表現が省略されるということです。
さすがの集中鑑賞モードも、そこまで離れたキャラの演奏まではキャッチできない、ということで自動でオフになるわけでしょう。
描画される距離は、演奏音が聞こえる距離(半径20メートル以内)よりもずっと広範囲です。ただし、つねに一定ではなく、混雑しているほど狭くなります。たとえば、さっきの画像3-2の場合は、数歩ほどさらに遠ざかると合奏中のプレイヤーキャラが見えなくなり、集中鑑賞モードがオフになりました。逆に、ほかに誰もいないような場合は、東西南北におよそ80メートルまで離れても問題ないようです。マップによっても違うかもしれず、この距離についてはあまりはっきりわかりません。
80メートルというのはオープンチャットが届く距離よりもずっと遠いし、そんなに離れて聴くようなこともふつうないでしょう。
ちなみに、合奏パーティリーダーから30メートル離れると、集中鑑賞モードのボタンが見えなくなります。オープンチャットが届く範囲はもうすこしだけ広く、35メートル前後です(場所によって変動がありそう)。これらの距離はおそらく、周囲が混雑しているかどうかに影響されないようです。
結局どうすればいい?
たとえばソロ演奏を聴くときは、再生機器のボリュームをいじるなどすれば、至近距離であろうと15メートル離れていようと、さほど関係ありません(ボリュームをいじるのがめんどう、というのはありますけれど)。
ただ、19メートルくらいのぎりぎりだと、かなりボリュームを上げざるを得ず、効果音など別の音が大音量で鳴りかねない点に注意が要ります。
64bit改変よりも昔の時代までは、演奏音が大きすぎて音が割れるのを避けるという観点で、あえて遠くで聴く利点もある、と考えてもいました。現在は音割れを気にする必要がなくなり、そういう利点はなくなったといえます。
演奏者から遠い位置で聞くことによるハンディキャップは、音量がちいさくなること自体というよりも、むしろ、演奏者間の位置の違いがより顕著な音量差となって表われてしまう、という点にあります。
2人合奏を聴くとします。聞き手にとって演奏者ふたりとの距離がそれぞれ10メートルと11メートルなら、双方の音量差は1dBくらいとなり、そんなに気になりませんけれど、18メートルと19メートルだと6dBも変わります。これは2倍の音量差を意味します。合奏人数が多いほど、どの位置から聞こうとしても、演奏者それぞれの距離がいろいろになり、音量バランスが崩れてしまいます。集中鑑賞モードなしに音量バランスを維持するには、全員がおなじ位置に固まって演奏するしかありません。
楽師のかたなら、合奏の音合わせ(テスト演奏)の機会に一度、ほかのメンバーに演奏を任せて、離れぎみのいろんな位置から聴いてみるのもいいかもしれません。きっとがっかりすると思います。意図したとおりの演奏音はなかなか届けられない、という前提の上で、それでも最大公約数的な配置に落とし込んでみるか、集中鑑賞モードでモノラルで聴いてもらうことを前提とするか、すっかりあきらめるか、どうすべきか悩ましいところです。
近年のわたしは、(正面の適度な距離を理想のリスニングポジションと仮定して)大人数でもなるべく3列以上にならないような配置を採用し、後列をなるべく前に詰めてもらっていましたけれど、前後だけ縮めても、横が長いと結局、客席の横端のほうのひとにとって演奏者の遠近差が大きくなり、かなり乱れた音量バランスで届いてしまいます。最大公約数的な配置なんてないと、この記事を書いて改めてつくづく思いました。まともな音量で届く距離にもうちょっとゆとりがあれば、こうやって悩まなくて済んだのですけれど。
どういう位置で聴けばいいか、どういう配置で合奏すればいいか、最善の答えは出ません。でも、答えを出さないことも含めて、考え判断する手がかりはひととおり記事に盛り込めたと思います。