マビノギのフリースタイルジャムによる演奏
オンラインRPG『マビノギ』の演奏システムのひとつ「フリースタイルジャム」について、演奏手段としての観点から、特徴などをまとめています。
- 2022年11月29日:「ミニゲーム成功時の視覚エフェクト」の内容を中心に加筆・修正しました。
このページで扱っている『マビノギ』のゲーム画像やゲーム内データの知的財産権は、株式会社ネクソンおよび韓国NEXON社に帰属します。© NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd.
フリースタイルジャムの概要
フリースタイルジャムは、2016年12月の、MusicQ改変とともに実装されました。
合奏や合唱とおなじく「アクション」に分類されます。楽器を装備するだけで習得できます。

楽器やマイクを持ってフリースタイルジャムアクションを使うと、画像1のように、フリースタイルジャムが準備されます。「(キャラ名)のフリースタイルジャム」と表示されたト音記号が右手側の近くに現れます(右手側にスペースがない場合は左に、あるいは前後の位置になります。なお、画面上のキャラの向きが実際の向きと違う場合もあるので、狙いの位置にト音記号を出したいときは気をつけましょう)。アクション使用者がF1キーを押すと、ジャムを始めることができます。ほかのプレイヤーも、ト音記号をクリックしてF1キーを押せば、そのジャムに参加できます(フリースタイルジャムアクションを習得している必要あり)。アクション使用者の演奏が始まるまで、ほかのプレイヤーはF1キーを押してもなにも起きません。なお、環境設定で「エフェクト簡素化」を有効にしていると、ト音記号が表示されません。その場合も、「(キャラ名)のフリースタイルジャム」の文字をクリックすれば、ジャムに参加できます。
F1キー入力待ちの状態でも移動ができます。ただし、ト音記号から離れすぎると演奏が始められません。F1キー入力を促すマークの上に、カウントの数字が出ます。ちょうどいいタイミングでF1キーを押せば、演奏開始直前に決めポーズが出ます。逆に、タイミングを外すと残念なポーズになります。
以下、フリースタイルジャムのアクション使用者を「主催者」、ト音記号をクリックして参加したほかのプレイヤーを「参加者」と呼びます。

約10秒おきにミニゲームが発生します。一定時間内に、画面に表示された並び順でW・A・S・Dキーを押すというものです。失敗すると、キャラの体が巨大化またはミニマム化します。いちばん早くキーを入力し終えたプレイヤーは、つぎのミニゲームまでの間、画像2のように、スポットライトを浴びて、演奏大成功時のあらぶりモーションになります(参加者0人のときは除く)。また、成功・失敗によって、周囲に動物がぞろぞろと現れます。ミニゲームの成績によって現れる効果などについては、本稿では触れませんけれど、効果の観点でいえば5コンボ(5回連続成功)が目標となります。
一般フィールドでフリースタイムジャムをすると、まれに「コルプレの祝福」が降り注ぐことがあります。エリン時間で1日の間、そのフィールドで行なわれるフリースタイムジャムは、効果がちょっとお得になります。また、ト音記号とスポットライトの色も金色に変化します。祝福発生時、主催者のキャラ名を含むアナウンスが全チャンネルに流れるので、ドキッとさせられます。
ミニゲーム成功時の視覚エフェクト

ミニゲームが成功するたびに、キャラの周辺にエフェクトが表示されます。多くの場合は画像3のような螺旋状のエフェクトになります。そのほか、条件によって、さまざまなエフェクトを見ることができます。いずれも、5コンボ以上でより派手なエフェクトになります。特定のエリアでフリースタイルジャムを準備した場合に現れるバリエーションを、わたしが確認できた範囲で載せます。

- 晴れか曇りのときの、かまどやキャンプファイアのそば(画像4の左上)……炎
- 晴れか曇りのときの、水辺や井戸のそば(同右上)……水玉
- 雨天時の、水辺や井戸のそば(同左下)……稲妻
- 銀行(同右下)……散らばる硬貨

- 衣料品店(画像5の左上)……散らばる水晶
- ピシス地方やシドスネッター(同右上)……足許に黄色い煙
- 桜の木のそば(同左下)……桜の花びら
- 竹のそば(同右下)……木の葉

- アルバン騎士団の紋章の近く(画像6の左上)……盾(アヴァロンゲートでも同じエフェクトが出るそうです。わたしのキャラでは通常エフェクトしか確認できず。たぶんストーリーを全然進めていないせいでしょう)
- ザルディン火山温泉の噴気孔のそば(同右上)……吹き出るガス
- 雨天時の、かまどやキャンプファイアのそば(同左下)……黒煙
- フェスティア(同右下)……黄色いきらめき

- ティルコネイル墓地やタルティーン墓地の昼(画像7の左上)……黒い鳥の群れ
- ティルコネイル墓地やタルティーン墓地の夜:20時30分から3時30分(同右上)……赤い妖気
- 氷上の釣り穴(同左下)……凍りつく地面
- カニのそば(同右下)……大きな泡
場所による違いのみならず、特定のキャラやペット、ミニドールの存在も関係します。画像7の右下の例のように、「紅葉ワタリガニ」がいるそばでフリースタイルジャムを準備すると、特別なバージョンになります。準備する時点でそばにいれば条件を満たします。誰が飼い主かも不問です。モンスターのカニでも可能です。ほか、特定のミニドールを召喚することで、コンペイトウが散らばるエフェクトも出るそうです。これは持っていないので未確認です。また、結婚相手のそばでジャムを準備した場合、ハートマークのエフェクトになることは確認しました。
アクセサリー「スイートローズクォーツペンダント」を装備していると、ミニゲーム発生中に頭上に出る音符マークと、通常の成功時エフェクトの音符マークとが、薔薇の花に置き換わります。この効果は、装備しているキャラのみに適用されます。
ほかにも、ミルキーウェイシリーズの楽器が3人以上参加したときに追加されるエフェクトもあるそうです。
演奏時の演出を考える上で役立つかもしれない要素だから、以上まとめてみました。特殊なエフェクトが出て、なおかつ、演奏会などが行なえそうな場所となると限られますけれど、浪漫農場なら、狙って出せるような舞台設営ができると思います。
画像は、いずれも4コンボまでのエフェクトを映したものです。5コンボ以降のエフェクトは、単にゴージャスになるものもあれば、表現ががらりと変わるものもあります。それらは、ぜひ自分自身の眼で確かめてほしい――って書くと攻略本の決まり文句みたいですけれど、実際、隠し要素のような面もあるから、ここに載っていない種類を探していろいろ試してみるのも一興でしょう。
演奏上の特徴
純粋に演奏用アクションとして捉えた場合の特徴を見ていきます。
演奏成功率
音外れせず、演奏が必ず成功します。
演奏の長さ
主催者の演奏が終わるとジャムも終わります。つまり、合奏アクションの代わりにフリースタイルジャムで合奏をする場合、主催者の楽譜の演奏時間をそれぞれの楽譜のうち一番長くしておく必要があります。逆にいえば、参加者の楽譜の内容が短くても、主催者の楽譜が完走されるまでは、演奏が止まることはありません。合奏アクションと違う点のひとつです。
主催者・参加者の演奏内容
基本的には、主催者が楽譜を持って、参加者が楽譜を持たずに、みんなで主催者の楽譜内容を弾く、というパターンがほとんどになると思います。主催者と参加者、楽譜の有無によって、なにが演奏されるかを、以下にまとめました。正確に書こうとすると案外ややこしくなるものです。
- 楽譜を持っている参加者と主催者は、その楽譜を演奏する。通常どおり、楽器ならメロディ・和音1・和音2パートを、歌なら歌パートを演奏する。
- 楽譜を持っていない主催者は、ランダム演奏をする。
- ランダム演奏で主催されているジャムに楽譜を持たずに参加した場合、その同じ曲を演奏する。
- 楽譜演奏で主催されているジャムに楽譜を持たずに参加した場合、主催者の楽譜を演奏する。このとき、参加者の持ち楽器にかかわらず、主催者が楽器で演奏していれば、メロディ・和音1・和音2が適用され、主催者がマイク装備で唄っているのであれば、歌パートが適用される。ただし、主催者がマイク装備で、歌パートになにも入力されていない楽譜の場合は、メロディ・和音1・和音2が適用される。(たとえば、メロディ・和音1・和音2・歌パートすべてに記入がある楽譜を、主催者がマイクで唄っているときに、参加者Aが楽譜を持たずにリュートを持って参加したとすると、主催者は歌パートを唄い、参加者Aもその歌パートを(メロディパートのように)リュートで演奏する。もし、同じ条件で楽譜の歌パートだけ空白にした場合、メロディ・和音1・和音2パートを、主催者も参加者Aも演奏する。歌で和音1・和音2を鳴らす方法については後述。)
- 楽器を装備していなくても参加できる(エレキギターを弾いているようなモーションをする)。もちろん演奏音は出ない。
途中から参加した場合は、はじめからの演奏ではなく、ジャムの経過時間に見合った箇所から演奏されます。
椅子タイプの楽器の場合
参加者は、ピアノ、ハープ、ドラムに座ってからト音記号をクリックすることができないので、ト音記号をクリックしてから座り、F1キーを押します。主催者は、座ってからジャムのアクションを始めることもできます。
16人超の場合
合奏は原則16人までですけれど、フリースタイルジャムで17人以上加わった場合も、16人からあふれるぶんだけ、いずれかの楽器が鳴らなくなるようです。全メンバーが楽譜を持っている場合で確認済み。また、主催者のソロ譜面を大勢でジャムする場合も、観察したかぎりでは同様に、鳴らない楽器が出てくるようです。ランダム演奏の場合は、どうだかわかりません。
フリースタイルジャム自体の参加人数上限もあるのかもしれません。そのあたりのことも未知です。
集中鑑賞モード
集中鑑賞モード(ゲーム内表記:集中観賞モード)をオンにしているときは、フリースタイルジャムの主催や参加ができません。また、フリースタイルジャム中は、集中鑑賞モードをオンにできません。
フリースタイルジャムと演奏の質
ふつうのソロ譜面をフリースタイルジャムでみんなで集まって弾くと、(別項でも触れているように)どうしても音量が大きくなりすぎて音割れを招きます。MMLで音量を抑えめにするといいのですけれど、逆にフリースタイルジャム縛りの演奏会のような場だと、もともとみんな環境設定の演奏ボリュームも(心の準備も)ととのえているだろうし、前後のひとの演奏と音量差が出すぎてしまうかもしれないので、どうするのがいいかは難しいところです。
参加している楽器の種類や割合によって、音の厚みが心地よくなるときもあれば、審美的には評価し得ない演奏になる場合もあります。その場の偶然性に委ねられる、スリリングさがあります。わたしはその偶然性やスリルをよしと捉えています。ただやはり、打楽器、とくにシンバルが加わると、多くの場合パンクな演奏になるのは、しかたないところ。
こういったわけで、合奏譜面を丁寧に仕上げて「聴かせる」タイプの楽師の多くは、フリースタイルジャムに積極的ではないような印象があります。わたしのスタンスと試みは、「フリースタイルジャム専用譜面について」の項に書きました。
ミニゲームのタイミングと演奏内容との同期をとるには
ミニゲームは約10秒おき、と前述しましたけれど、こまかくいうと、10秒きっかりよりわずかに長く、10.15秒前後のようです。4小節ごとにミニゲームが発生するようにMMLを書く方法を考えてみると、テンポ94なら4小節が約10.21秒、テンポ95ならおなじく約10.11秒ですから、テンポ94と95を交互に入れれば、ずっとタイミングが揃うはずです。大人数が参加した際、処理がもたついて間隔に誤差が出るのかどうかは、よくわかりません。
フリースタイルジャムを使って歌声をひとりでハモる
ふつう、マイクを使う女声と男声は、歌パートだけしか鳴らせず、同時に1音しか発音できません。バフスキルのランダム演奏で3和音が鳴るけれど、楽譜では無理だと思っていました。できるよ、という話や実演を見聞きしたこともありませんでした。しかし、フリースタイルジャムを使えば、メロディ・和音1・和音2の各パートを歌声で鳴らすことができます。ただし、次の注意点があります。
- 歌パートになにも書かれていない場合のみ、メロディ・和音1・和音2を鳴らせる
- 和音1・和音2の音符は、大文字、またはNコマンドで記入しないと鳴らない
歌パートにMMLが書き込まれていれば、当然、歌パートを唄うから、歌パートをからっぽにすれば、メロディパートのほうを唄う……だけでなく、和音1・和音2パートも鳴らせるのです。ところが、和音1・和音2は、どういうわけだかわかりませんけれど、小文字の音符「cdefgab
」には反応しません。大文字の「CDEFGAB
」なら発声します。また、音の高さをNコマンドで指定した音符もOKです。「CDEFGAB
」以外は、大文字でも小文字でも変わらないようです。
そういうわけで、和音1・和音2の音符を大文字またはNコマンドで書いて、歌パートをからっぽにした楽譜を使ってフリースタイルジャムで唄えば、最大3音をひとりで唄うことができます。伴奏が欲しいなら、伴奏パートの楽譜と楽器を持った参加者がいればいいのです(主催・参加が逆でもよい)。ふたりで混成四部合唱、なんていうのもできそうです。
マビノギMMLのNコマンドのページでも、「メロディ・和音1・和音2に入れたNコマンドの音符は歌声・鳥ペットで鳴らせる」の項にて、このことに触れています。
マビノギMMLに大文字・小文字の区別があるという話は、これまで聞いたことがないですし、主要なマビノギMML作成ソフトでは、MMLは小文字で出力されます。大文字で出力する設定も見当たりません。まさに盲点でした。一方、ゲーム内の作曲スキルウィンドウで鍵盤をクリックすると、大文字で書き込まれます。ということはゲーム開発者側の認識としては、大文字で書くのがマビノギMMLの標準だ、ということでしょうか。しかし、作曲スキルを上げるのに必要なゲーム内アイテム(『ヘレンヌと学ぶ作曲教室(1)』などのスキルブック)には、おもに小文字でMMLが書かれているので、勘ぐりすぎかもしれません。それはさておき、フリースタイルジャムが実装されてから(執筆時点で)6年くらい経って、こんな技が発見できたことには、ちょっと昂奮しました。
フリースタイルジャム専用譜面について
わたしはこれまで、フリースタイルジャム用の、4人か5人程度の合奏をいくつかつくってきました。数名は指定の楽器と楽譜で参加し、ほかは自由に加わってもらうという形ですので、「5 + ∞人合奏」というような体裁になります。実際には演奏上、16人が鳴らせる限度ですけれど、「∞人」と称するほうがロマンがあります。
このような作品は、演奏結果が毎回変わるので、当サイトでどう載せるか決めかねています。さしあたりここで、要点や工夫をつらつらと書いてみます(やや未整理)。そのうち楽曲紹介ページを載せたいという気持ちはあるけれど未定です。
ふつうの合奏を想定して仕上げた譜面でフリースタイルジャムをやって、自由参加してもらっても、単に主催者のパートだけが大きな音にふくらんでしまい、合奏としてのバランスが崩れてしまいます。もちろんフリースタイルジャムで理想的なバランスを保つことは、もとより無理な話ですけれど、どんな楽器が何人加わっても、そこそこ・まあまあ成立するようにはできます。それには、主催者が受け持つパートのMMLに工夫をしないといけません。
フリースタイルジャムが耳障りになりがちな要因として、おもに以下が挙げられます。
- 大きめの音量の音符をみんなで一斉に鳴らせば、どうしても音量がリミットを超えやすくなる。つまり音割れする
- 楽器ごとに発音可能な音域が異なる為、とくに、オクターブ番号をまたぐフレーズがまぬけになりやすい
- 打楽器(小太鼓やシンバルなど)が大きな音量でドンドンバシバシと執拗に連打される
- 歌声がはいると音量も存在感も大きくなりすぎるし、アタックの遅さのせいで野暮ったくなりやすい
- 空き瓶が加わると(3パートすべてをおなじ音で鳴らすので)どうにもならない
まず、1つ目の音割れについては、環境設定の演奏ボリュームを最大にしているなら、半分か3分の2くらいに下げることで、ほとんど防げます。または、演奏者から離れた位置で聴いてもおなじ効果があります。環境設定の演奏ボリュームは、ひとそれぞれでしょうから、あまり音割れに対して小言はいえません。ただし、わたし自身の作品には、わたしなりの基準があるので、音量指定を抑えめにする、という方針をとります。およそv5からv7くらいを中心にすれば安全でしょうか。
2つ目の音域の問題、これは気にしだすとなにも書けなくなるので、しょうがないと思います。いろんな楽器がまんべんなく参加してくれれば、それほど気にならないものです。
3つ目、4つ目についてですけれど、打楽器や歌声では和音1・和音2が鳴らせないことを利用します(実際には前述のとおり、歌声で和音1・和音2が鳴らせますけれど、最適化後にNコマンドが含まれていなければ問題なし)。
まず、主催者が打楽器を担当することにします。シロフォンなら合いの手フレーズなどを弾くのにも便利です。そうして、和音1・和音2パートに、大事なフレーズまたは大勢で鳴らしたいフレーズを小さめの音量で盛り込んでおき、任意の参加者が何人か集まることで、ようやくそのフレーズが際立ってくるようにします。
メロディパートに不用意に音符をならべると、小太鼓やシンバルなどの打楽器が参加してきたときに、いちいちドンドンバシャバシャと鳴って、悲惨な結果をもたらしかねません。歌声もまたしかり。だからメロディパートには、打楽器も歌声も発音しない音域(C♯7以上、B0以下)を入れるようにします。主催者がシロフォンなら、A0とA♯0とB0の3音をうまく使いたいところ。ただ、その場合もピアノやチェロなどが低音域を発音してしまうし、C♯7以上が鳴る楽器も多数ありますから、それらもある程度計算に入れます。もちろん、打楽器や歌声を鳴らしてもいい箇所は、この限りではありません。せっかく参加してもらっているのだから、アクセントとなるようなところでちょろっとでも活躍させたいものです。もちろん音量は控えめの指定で。
最後の項目、空き瓶については、どうやっても対策できません。空き瓶は御遠慮ください、みたいなことを演奏前にいうしかないでしょう。さいわい、空き瓶を常に持ち歩いているひとはそんなにいません。
演奏会で合奏パーティメンバー募集に応えてくれるかたというのは、だいたい固定的になる傾向があるので、もっといろんなひとを巻き込みたい、という気持ちがあって、フリースタイルジャム実装後まもなくから、このような形態のフリースタイルジャム合奏を何度か試みました。狙い通りの音が鳴ることはまずありませんけれど、そんなことより、みなさんに楽しんでもらえたという手応えのほうが大事ですし、一回性の演奏、毎回違う演奏、というのはまさにライブ感があります。
さらに押し進めて、フリースタイルジャム用ソロ譜面というのもつくりました。ソロといっても、参加者が加わってはじめて成立するような組み立てです。F7以上の音高の音符が鳴らせるのはエレキギターとチューバだけ、さらにC8以上はエレキギターだけ、ということを利用して、F7からD♯8までの狭い音域を中心に、メロディパートを組み立てました。それで主催者はエレキギターを担当する、という形です。和音1・和音2のパートは主に伴奏役で、さっきの例とおなじく音量を抑えます。音を短く切るのが有効なときもありそうです。10人くらいで和音1・和音2を鳴らして、エレキ1本でのメロディが埋もれないくらいのバランスを目指す、というような匙加減です。もちろんエレキが何人も参加してメロディの音量が増す可能性もあるし、すべてのケースを考慮することはできません。また、ドラムが加わることを期待して、ドラムのパターンがそのままコード弾きにもなるような構成にしました(たとえば、フロアタムとスネアのオープンリムショットはそれぞれG2とB2なので、GとBを交互に鳴らして違和感のない調でつくるということ)。こういう異様な制約下ではどうしても、とんがった曲しか書けませんけれど、新しいことをやっているぞ、といううれしい感触とともに作譜をしていました。