マビノギの演奏システム七不思議
オンラインRPG『マビノギ』で演奏活動をするときに問題になってくる、ゲーム内のおかしな挙動についてまとめているページです。端的にいうと演奏関係の「不具合」集ですけれど、不具合かどうかをユーザー側が判断することはできないので、婉曲表現として、またロマンも加味して、ここでは「七不思議」と呼ぶことにします。べつに7つに限定しているわけではありません。マビノギMMLガイドの記事のひとつです。
過去に発生して修正された七不思議は枚挙にいとまがないので、現在(2023年以降)生じている現象のみ取り上げます。
2023年の64bit改変による(七不思議っぽいものも含む)仕様変更点は、マビノギのアップデートによるMML演奏への影響のページにまとめています。
このページで扱っている『マビノギ』のゲーム画像やゲーム内データの知的財産権は、株式会社ネクソンおよび韓国NEXON社に帰属します。© NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd.
演奏内容に関する不思議
打楽器での演奏時、音量指定が正しく反映されない
古くからの現象です。打楽器(小太鼓、大太鼓、シンバル、シロフォン、ハンドベル)で演奏した場合、本来の音量指定のとおりに再生されません。具体的には以下のようになっています。
- 音量指定11以上がすべて、11とおなじ音量になる
- Nコマンドの音符の音量が3分の2相当になる
マビノギMMLのNコマンドのページの「打楽器で鳴らすNコマンドの音符は音量が変わる」の節にくわしく書いています。
このふたつの振る舞いの根っこはおそらくおなじで、まとめるなら「Nコマンド以外の音符の音量が1.5倍相当になっている」というのが実態でしょう。そう考えれば「MML作成ソフトで再生したときよりゲーム内でのほうが打楽器の音量が大きい」ことにも納得がいきます。
チューナーを装備して合唱すると、音外し判定が歌スキルとおなじになる
「ハメルンのチューナー」は、楽器での演奏時に音を外さなくなる効果があり、歌の場合は効果がなにもない、というアクセサリのはずです。
ところが、「合唱」アクションをした場合にチューナーを装備していると、成功率が「歌」スキルとおなじになります。
2017年1月のMusicQ改変で、合奏・合唱時の成功率が、楽器演奏・歌スキルの成功率と別物になりました。チューナー装備で「合唱」アクションをしたときのみ、その変更が反映されていない、ということになります。
念の為に書くと、どんな条件でも合奏・合唱の成功率がソロの演奏・歌を上回るとは限りません。たとえば、歌スキルのランクが1で、音楽知識スキルを持っていなくて、楽譜が習作譜面であれば、むしろ本来の合唱成功率のほうがすこし低くなる場合があるかもしれません。とはいえ、そんなこといちいち比較していられないので、自身が「合唱」アクションを使うときは、チューナーを外すほうがいい、と覚えておけばよいでしょう。
「王立音楽協会の楽譜スクロール」(以下、「王立楽譜」)が、話をさらにややこしくさせます。(マビノギの楽譜スクロールの種類のページで解説していますけれど、)このアイテムは、楽器演奏・歌スキルが100パーセント成功する、という効果があります。ここでいう成功とは、「音が外れない」ことではなくて「スキル成功」のほうです。
さっき書いたとおり、(MusicQ改変以降の)合奏や合唱の音外れ判定は、スキルの成功とは別物になっています。だから、合奏・合唱時に王立楽譜を使っても、チューナーがなければ音が外れることがあるわけです。……さて、それではチューナーをつけるとどうなるか?
チューナーと王立楽譜を装備した状態で合奏・合唱をすると、音が外れなくなります。もちろん、合奏のほうは単にチューナーの効果が発揮されているに過ぎません。注目すべきなのは、チューナー・王立楽譜・合唱、の組み合わせで音が外れなくなることです。
チューナーをつけて合唱すると歌スキルとおなじ成功判定になるから、歌スキルが100パーセント成功する王立楽譜の効果が発揮されて、音が外れずに唄える、というわけなのでしょう。
合唱使用時は、「チューナーをつけないほうがいい、ただし王立楽譜を使うときはチューナーをつける」という、直観と反対の運用をしないといけません。
なんだかややこしいので、音外れの有無について、(マビノギの楽譜スクロールの種類のページにさしあたり載せていたのを、こちらのページに持ってきて)まとめました。以下の一覧で、「必ず成功」は、音が100パーセント外れずに演奏できること、「失敗あり」は、音が外れる可能性があることを指します。「バフ演奏」は、「子守唄」や「豊作の歌」などのようなスキルを使って演奏することを指します。「ジャム」は、フリースタイルジャムの略です(表のレイアウトの都合で短く略しただけ)。
- 楽器演奏
- チューナーあり:必ず成功
- 王立楽譜あり:必ず成功
- チューナーも王立楽譜もなし:失敗あり
- 歌
- 王立楽譜あり:必ず成功
- 王立楽譜なし:失敗あり
- チューナーの有無は関係なし
- 合奏
- チューナーあり:必ず成功
- チューナーなし:合奏用確率で失敗あり
- 王立楽譜の有無は関係なし
- 合唱
- チューナーも王立楽譜もあり:必ず成功
- チューナーあり王立楽譜なし:歌と同じ確率で失敗あり
- チューナーなし:合奏用確率で失敗あり
- バフ演奏
- 必ず成功。幻想のコーラスも同様
- ジャム
- 必ず成功
演奏終了後もスキルが自動で止まらない場合がある
長尺の演奏をすると、完走後もスキル(アクション)が自動で止まらない場合があります。
具体的な条件は、「テンポ指定が、(4分の4拍子換算で)186小節プラス159tick以上の長さの間に現れないMMLを演奏した場合」です。逆にいえば「186小節プラス159tick未満の長さのMML」であれば、おそらく問題ありません。画像1-1で図解しました。
「159tick」は、付点4分音符くらいの長さです。〈メロディ・和音1・和音2〉それぞれの長さによっては、187小節半くらいまで猶予が延びる例も確認していますけれど、詳細は省きます。
止まらない症状を治すには、「186小節プラス159tick」より短い間隔でテンポ指定を入れればよいのです。こまかいtickは気にせず、「186小節以上間隔をあけずにテンポ指定を挟む」と覚えればOKです。テンポの値は変更しなくてかまいません。
あるいは、4分音符を8分音符、8分音符を16分音符、というふうに2分の1の長さにすべて置き換えて小節数を減らすのもひとつの手ですけれど、文字数が増えがちです。
大昔は、別の原因で完走後に止まらなかったり完走前に止まったりする現象がありました。演奏開始時に演奏モーションの持続時間が計算され、曲の途中でテンポが変わると計算と齟齬が起きて、そういう症状が起きたようです。曲の末尾にテンポ指定を入れる、などの対処法はそのころの話です。
幻想のコーラスの音が外れて聞こえる場合がある
合奏(合唱)アクションで演奏したあと、「その演奏開始時のパーティメンバー」が幻想のコーラスの音を鳴らすと、演奏失敗時とおなじように外れて聞こえることがあります。パーティを解散していても関係ありません。
ほかのプレイヤーに音が外れて聞こえているかどうかを、幻想のコーラス使用者には知るすべがなく、怖いところです。
この現象が起こらないよう、幻想のコーラス使用者がとれる対策には以下が挙げられます。
- チューナーをつけて幻想のコーラスを使う
- 幻想のコーラスを使うまでは合奏に参加しない
- 合奏後、メンバーが見えなくなる場所(浪漫農場など)に一回移動する
なお、同じような状況で、幻想のコーラスを鳴らした本人も音が外れて聞こえるときがあり、こちらは詳細不明です。
そのほか、わかっていることを箇条書きします。
- 幻想のコーラスの音が外れた場合も、バフ演奏している楽器・歌のほうは外れない
- ランダム演奏でも外れる
- 神がかった演奏かどうかは、音外れと無関係
- ラグリンネの幻想のコーラスは外れない
- 外れて聞こえているかどうかは、プレイヤーごとに異なる
- 少なくとも2017年からこの症状あり
- 64bit改変後の現在(2024年7月)もなお、この症状あり
集中鑑賞モードをオンにすると演奏音がモノラルになり、効果音やBGMがミュートされない
64bit改変後の集中鑑賞モード(ゲーム内表記:集中観賞モード)にいくつか問題点があります。マビノギのアップデートによるMML演奏への影響の「集中鑑賞モードとBGM」の節を参照。ミュートされないのは、ゲーム内のヘルプの記述と食い違うので、おかしいといえます。演奏がモノラル再生になるのは……意図した変更だとしたら、つまらないものです。集中鑑賞モードに限らず、64bit改変後は左右の定位の扱いがおかしいように思えます。
環境設定ウィンドウを閉じたあとにキャラを動かすと、周辺の演奏音が集中鑑賞モードをオンにしたかのように聞こえる
キャラが表示される距離内で誰かが演奏している最中に、環境設定ウィンドウを閉じて、それから自キャラを動かすと、その演奏が集中鑑賞モードをオンにしたときのように再生されます。
ここでの「自キャラを動かす」とは、歩く、武器を持ち替える、一部のスキルやアクションを使う、などさまざまな行動が当てはまります。また、一部のペットや椅子に乗っている(座っている)ままの状態でもかまいません。
キャラが表示される距離より遠くに離れれば、もちろん演奏は聞こえなくなります。
混雑していると、キャラが表示される範囲が狭くなるので、この現象が起きる距離はつねに一定ではないかもしれません。
集中鑑賞モードとの違いとしては、集中鑑賞モードのほうは、演奏がもともと聞こえる範囲内であれば、オンにした瞬間に音量と中央定位が反映され、わずかでも動けば範囲外の演奏も同様に聞こえるようになりますけれど、環境設定ウィンドウを使ったやりかたのほうは、範囲内かどうかにかかわらず、移動しないと反映されません。
また、集中鑑賞モードをオフにするか、おなじようにもう一度環境設定ウィンドウを閉じてからキャラを動かすと、〈集中鑑賞モードのような状態〉ではなくなり、その演奏に関しては、以降、環境設定ウィンドウのやりかたではふたたび〈集中鑑賞モードのような状態〉に戻せません(集中鑑賞モードのオンオフなら何度もできます)。別の演奏には、またおなじことができます。
自分の幻想のコーラスと、パーティを組んでいない別のキャラの演奏とを正反対の方角の遠い位置で鳴らして、環境設定ウィンドウのやりかたを試すと、両方が〈集中鑑賞モードのような状態〉で聞こえましたので、複数の合奏が対象でもおなじような振る舞いの可能性があります。これも、集中鑑賞モードとは異なる性質です。
集中鑑賞モードのボタンを押さずに(表示されないほどの距離にいても)、〈集中鑑賞モードのような状態〉にできる小技、のように思われるかもしれませんけれど、環境設定ウィンドウを閉じる手間のぶん、演奏開始後すぐの部分をどうやっても聴きそびれることになります。
Nコマンドの音符は音が外れない
数少ない、うれしい七不思議です。マビノギMMLのNコマンドのページ内、同名の見出しの節を参照。チューナーの恩恵が受けられない歌パートでも、音符をすべてNコマンドで書いておけば、絶対失敗しなくなります。文字数が相当かさばりますけれど、ザブキエルの楽譜集のほうが王立楽譜より入手しやすいし、ここぞというときの奥の手としてはアリだと思います。
楽譜に関する不思議
楽譜スクロールの書き込みに失敗したり、リログで楽譜スクロールの内容が消失したりする場合がある
MMLの内容によっては、楽譜スクロールの書き込みに失敗する場合があります。
作曲ランク1で書けるぎりぎりの文字数よりずっと少ない分量のMMLであれば、症状が起こる心配は無用です。ただし、文字数によって症状が出たり治ったりするわけではありません。
おそらく、MMLのテキストデータが(通信最適化の為に)圧縮される際に、ゲームのプログラム側で想定されているデータサイズより大きくなってあふれてしまうときに、こういうことになるのだろうと思います。(以下、この仮定を前提として書きます。)
かんたんにいえば、「あああいいいうえうえ」という文字列のデータは圧縮しやすいけれど、「あえうあいういえいあ」は圧縮しにくい、ということです。「あああいいいうえうえ」は、「あ」が3連続・「い」が3連続・「うえ」が2連続、というふうに読み替えられますから、そのように読み替えのルールを決めておけば、より短いデータでおなじことが伝達できます。
圧縮効率が悪いMML、ということは複雑なMML、というふうに思ってしまうのですけれど、実際には、ベタ打ちのような素朴な内容でもこの症状に見舞われる可能性があります。以下にMMLの例を載せましたので、検証してみたいかたは御利用ください。いずれも作曲ランク1で書けます。
- 楽譜
- 書き込めないMMLの例A (文字数:1600・1200・890) ※歌パート除外で入力
- 書き込めないMMLの例B (文字数:1600・1199・899) ※歌パート除外で入力
- 書き込めないMMLの例C (文字数:1200・800・500・1014)
以下の各コマンドをランダムに組み合わせた文字列でつくったMMLです。冒頭にのみ、「t」「L」「o」のコマンドを加えています。付点もタイも音量指定も含めていませんから、文字列的には複雑なMMLといえないはずです。
- 音名:「c」「d」「e」「f」「g」「a」「b」「c+」「d+」「f+」「g+」「a+」
- 休符:「r」
- 音の長さ「2」「4」「8」「16」「32」
- オクターブ番号の上げ下げ「>」「<」
これらのMMLを作曲スキルで入力し、書き込む楽譜スクロールを選んでも、なにも起こらずスキル不発となります。
でも、ためしに〈メロディ・和音1・和音2〉または〈歌〉のどれか末尾を数文字削ってみると、楽譜スクロールに書き込めるようになるはずです。
タイトルの長さも、書き込めるかどうかに関係します。タイトルが半角1文字なら、MMLのほうは数文字削れば書き込めるはずですけれど、タイトルが半角30文字なら、MMLのほうはさらに削らないといけません。
数文字調整して書き込めたらそれでOKかというと、そうではありません。一度リログしたあと、その楽譜スクロールを見てみると、タイトルの文字列が一部削れていたり完全に消えていたりします。完全に消えている場合は、アイテム説明が新品とおなじ表示になってしまいます。
「読む」で中身を開いてMMLが残っているなら、演奏はできます。
ところが、MMLを書き込んだときに楽譜スクロールに魔法効果がついた場合は、さらにややこしいことになります。魔法効果がつくと、タイトルの削れがよりひどくなります。ただでさえタイトルが消失するような場合なら、MMLそのものも消えてしまいます。〈歌〉パートを含む場合は〈歌〉パートのMMLが消えて、それ以外の場合は〈メロディ・和音1・和音2〉パートが消えます。
MMLが消えた楽譜スクロールを演奏すると、当然演奏できない上、身動きがとれなくなってしまいます。移動もスキル使用もペット召喚もなにもできません。ログアウトならできるので、金縛りから逃れるにはリログするしかありません。
少なくとも2014年の時点で、こういう金縛り現象がありました。その現象が起こる楽譜スクロール(またはMML)を「呪いの楽譜」と名づけました(わたしがそう呼んでるだけですけれど)。MML作成ソフト「MabiIcco」の作者のかたが、わたしとの検証をもとにして、呪いの楽譜チェッカーをサイトで公開されていました。
MML圧縮後のデータサイズと、タイトル文字数、作譜キャラ名の文字数、音楽知識が6以上かどうか、魔法音楽効果が(ステータス上昇系・回復系・特殊系のどれが)ついているか、というのが、この現象のパラメータになっている、というところまで解明済みでした。2023年現在も、おおよその振る舞いは似ていますけれど、いくらか違うところもあるようです。キャラ名の長さや音楽知識スキルの影響、データの圧縮のしかた、その他くわしいところはわかりません。
2017年、吟遊詩人掲示板に載せていた一部のMMLの中身がメンテナンス後に消える、という事件がありました。これも原因は同根だったようで、掲示板の問題が後日に治った際、呪いの楽譜現象も解消されたように見えたので、呪いの楽譜現象は過去のものになったと思い込んでいました。でもどうやら実際の実装は、根本的な解決には至らぬままだったようです。呪いの楽譜の防止策として、データのかさばるMMLを楽譜スクロールに書き込めないようにしたものの、魔法音楽効果のデータ付加を考慮し忘れていた、というようなことなのかもしれません。
とくに「ザブキエルの楽譜集」を使うときに、〈1600・1200・900〉文字のMMLを複数用意する場面があると思います。そういうボリューミーなMMLは楽譜スクロールに書き込めない場合がまれにあります。その際、分割のしかたを加減してどうにかするわけですけれど、症状が起こらないぎりぎりのところで分けるのではなく、多少余裕をもたせるほうがいいでしょう。そして、「リログしても楽譜スクロールが無事かどうか」を確認しておくと安全です。タイトルだけが消えるのであれば、ザブキエルの楽譜集にセットしても演奏はできます。ただし、アイテム属性に書かれているセット楽譜のリストから、その楽譜が消えて欠番になります。呪いの楽譜を入れるとどうなるかは……いうまでもないでしょう。
わたしは2023年の演奏会の本番で、弾く直前になって、ザブキエルの楽譜集の表示がおかしいことに気づき、慌てたことがありました。前もってセットした楽譜のうち2番目がアイテム属性から消えていたのです。さいわい、MMLの中身そのものは消えていなかったので無事演奏できましたけれど。そのあと原因を調べたら、呪いの楽譜現象がいまなお健在だと気づいたわけです。
ちなみに、例として載せた3本のMMLを演奏しても、音楽的には無意味――ということもなくて、実験音楽が好きなひとなら楽しめる部分があるかもしれません。
ついでに小ネタをひとつ。呪いの楽譜をオルゴールにセットして使うと、ちょっとおもしろいものが見られます。(エリン音楽ひろば 2022年12月の記事内で軽く触れています。)
作曲スキルウィンドウで、文字数上限まで入力できない場合がある
「>」「<」「&」を多用するMMLの場合、メロディパートに入力できる文字数が1600文字より少なくなる場合があります。
作曲スキルウィンドウの〈メロディ・和音1・和音2・歌〉の各パートのMML入力欄には、入力するだけなら、半角2000文字まで入れられます。(もちろん実際に楽譜スクロールに書き込むときには、作曲スキルの文字数制限に合わせて、あふれたぶんがカットされます。)
ところが、MMLで使う文字のうち、「>」と「<」と「&」は、全角文字とおなじく2文字の入力としてカウントされます。
したがって、「>」「<」「&」を多用するMMLだと、2000文字はおろか、〈メロディ〉パートの枠内に、(作曲ランク1で「歌パート除外」を有効にした状態での上限である)1600文字すら入力できない場合があります。
作曲スキルウィンドウの画面で説明したのが画像2-1です。
たとえば〈c>c<c>c<
〉を延々と繰り返す文字列を入れた場合、1334文字を超えて入力できなくなります。それを書き込んだ楽譜スクロールの内容を見てみると、最後の文字の「>」が「&」になっています。「c」が667個、「>」が334個、「<」が333個あって、〈667 + ( 334 + 333 ) × 2 = 2001〉なので、最後の「>」が半端なデータになっているのでしょう。
プログラミング分野の話で、特定の意味をもつ文字をふつうの文字列として扱う際、「エスケープ」をします。たとえば「>」「<」「&」は、HTMLやXMLでふつうの文字列として扱うとき「>」「<」「&」という特殊な書きかたをする必要があります。ほかの半角文字と文字のカウントが違う原因が、このへんから察せますね。
「&」だけを並べた場合は、1000文字しかはいりません。
もちろん「&」だけを並べるのは極端な例にすぎませんけれど、〈c>c<c>c<
〉のようなパターンを繰り返すMMLは、ふつうの作譜で充分にあり得ます。
「>」「<」をもっとたくさん混ぜようとしても、MML作成ソフトで最適化すれば、たいてい「o」コマンドや「n」コマンドに置き換えられるので、1200文字までの範囲ならまず問題に出くわすことはないと考えられます。
しかし、「歌パート除外」によって1600文字まで入れられるようになった為に、不備が表面化したといえるでしょう。実際「そのさきたちつてと」のチューニングフルートのMMLがきっかけで、この現象を見つけたのでした。
ザブキエルの楽譜集が幻想のコーラスと幻惑の演奏に対応していない
(マビノギの楽譜スクロールの種類のページにおなじ記事があります。)
ザブキエルの楽譜集を使って幻想のコーラスを鳴らすことはできません。マイクを用いる通常の歌・合唱はできるので、〈歌〉パート自体がつぶれるわけではありません。
幻惑の演奏にも使えません。楽譜集の中身に関係なくランダム演奏になってしまいます。
本稿公開時点で、ここに「ザブキエルの楽譜集の中身が意図せず消える場合がある」七不思議を載せていましたけれど、追加装備スロット絡みの現象がすでに修正されているのを確認したので、削除しました(2023年11月12日)。マビノギの楽譜スクロールの種類のページに、もとの記事があります。
ペット、パートナーに関する不思議
MusicQ改変で上方修正された合奏成功率がラグリンネに適用されていない
2017年1月のMusicQ改変で、合奏や合唱時に音の外れない確率が、ソロの楽器演奏や歌スキルの成功率と別物になり、「音楽知識スキルと楽器演奏スキルのランクに比例する」ようになりました。しかしラグリンネは、依然ソロの楽器演奏とおなじ成功率になるようです。パートナー用のチューナーをつけておけば、気にすることはありません。マビノギの演奏パートナー・ラグリンネのページでも、このことに触れています。
ラグリンネにチェロを演奏させると、ラグリンネが地面に埋もれる
ラグリンネにチェロを弾かせると、ラグリンネが地面に埋もれたような見た目になります。
正常であれば、画像3-1の左のキャラのようになります。ラグリンネの場合、右のキャラのように埋もれます。椅子だけが正しい高さになっています。見た目だけの問題であり、演奏そのものには影響ありません。
設置型楽器で演奏中、同行キャラのインベントリにその楽器を移すと動けなくなる
ピアノ、ハープ、ドラムを使って、楽器演奏、合奏、フリースタイルジャムをしている最中に、使用中の楽器をペットやパートナーのインベントリに移すと、演奏したままで楽器設置が(見た目の上で)解除されて、移動ができなくなります。再度ピアノ、ハープ、ドラムを使うこともできません。ほかのスキルもほぼ使えなくなっています。ただ、演奏を終えるかキャンセルして、休憩スキルを使えばこの症状から脱出できます。演奏する前に楽器をパートナーのインベントリに移した場合は問題なく、身動きがとれます。
楽器設置が(見た目の上で)解除されたとき、自身の画面では通常姿勢で立っているように見え、その場にいたほかのプレイヤーの画面でも通常姿勢で立っている表示になります。あとから近くに来たひとの画面では、手持ちの楽器で演奏しているか、または装備武器によって採集や鍛冶などのしぐさになります(2023年現在は、そのようにならないかもしれません)。この見えかたについては、演奏中に楽器をごみ箱で破棄したときとおなじパターンの可能性があります。
鳥ペットで公演アクションを有効にして合奏をすると、鳥ペットの声が遅れる
唄う鳥ペット(ヤイロチョウ、アカショウビン、カワラヒワ)を召喚している状態で、公演アクションをオンにして演奏すると、その鳥ペットが募金箱の上に止まる、という演出があります。ソロで演奏する場合は、募金箱の上に止まってから演奏が始まるから問題ないのですけれど、合奏でこれをすると、合奏だけ先に始まり、鳥ペットが募金箱の上に止まり、それから鳥ペットが唄い始めるので、タイミングが大きくずれます。
対処法は、マビノギの唄う鳥ペットのページの「合奏時の注意点」の節に書いてあります。
特定条件で〈和音1・和音2〉パートの音符も鳥ペットが発音する
ふつう鳥ペットは、呼び出し主の楽譜の〈メロディ〉パートを唄います。しかし、大文字の音名〈CDEFGAB〉、またはNコマンドで表わした音符が〈和音1・和音2〉にあるなら、それにも反応します。
これについては、マビノギの唄う鳥ペットのページの「和音1・和音2の音符の扱い」の節と、マビノギMMLのNコマンドのページの「メロディ・和音1・和音2に入れたNコマンドの音符は歌声・鳥ペットで鳴らせる」の節でも取り上げています。――フリースタイルジャム時の歌声でもおなじような現象が存在します。
その他の不思議
イメンマハ公演場の奥側でパーティから抜けると強制ワープする
イメンマハ公演場の舞台を半円に区切る線より奥側(画像4-1)の一定区域でパーティから抜けると、アルペジオコンサートホールの客席の壇上にワープする、という謎の現象があります。これぞ七不思議(?)。公演場での演奏会のときは気をつけましょう。なお、貸館されているときはワープが発生しません。
打楽器の演奏モーションが、特定の条件で休符を無視して飛ばしてしまう
(2024年8月9日、この項を大幅に書き直しました。説明用の動画も追加。以前は、「打楽器の演奏モーションのタイミングは、テンポ指定直前の休符を無視する」という見出しでした。)
打楽器を演奏すると、音符の位置に合わせたタイミングで、楽器を叩くモーションをします(幻惑の演奏スキルは除く)。
ところが、このモーションが実際の演奏音と大きくずれっぱなしになってしまう場合があります。以下、2通りの条件を取り上げます。演奏音そのものには影響ありませんから、それほど実害はありませんけれど、見た目を大事にするなら覚えておきたいところです。
(2024年9月12日追記:)「MabiIcco」バージョン1.5.5で追加された「打楽器モーション補正」オプションは、この現象に対処する為の機能です。
テンポ指定直前の休符を無視する
昔、テンポ指定の直前に休符があると、実際のテンポ変更が休符の前のタイミングになってしまう、という有名な七不思議がありました。それは64bit改変とともにめでたく解消されました。
ところが、演奏モーションだけ、テンポ指定の直前に置かれた休符をすべて飛ばして進んでしまうという現象が、いま(2024年8月現在)でも残っています。
百聞は一見に如かずということで、実演した動画を掲載しました。
この実演動画では、シンバルを用いて、まず〈t120r1ccccr1cccc
〉を弾き、続いて〈t120r1ccccr1t120cccc
〉を弾いています。どちらのMMLも実質おなじで、均等な間隔で4回連打したあと、休んで、また4回連打、となるはずのMMLです。実際、音声はそのように再生されています。でも、後者のほうは、モーションが演奏音と一致していません。途中のt120の直前に置かれた休符を無視し、均等な間隔で8回連打しているような動きを見せています。
休符が複数連なっていても同様です。たとえば〈crrt120rc
〉というMMLなら、あたかも〈ct120rc
〉のようにモーションします。
対処法は、テンポ指定の直前の休符を(v0の)無音音符に置き換えることです。(さっき触れた、昔のテンポずれ症状の対策方法とおなじです。)無音音符のところにもモーションがついてしまいますけれど、以降のモーションがすべてずれてしまうよりは良いでしょう。
64bit改変以前から、この現象があったのかもしれませんけれど、そもそも演奏音自体にテンポずれ症状があった時代でしたから、モーションだけがずれているかまで観察できていませんでした。
長い休符を無視する
休符がずっと続く場合に、モーションだけ、その休符をすべて飛ばして進んでしまいます。途中から盛り上がっていく展開の曲などで、前半ずっと打楽器パートが休み、という例は多々あると思います。そういう譜面で、打楽器が鳴っていないはずの前半でやたらせわしなく打楽器を叩く動作を見せ、後半になるとほぼ棒立ち、という残念なことがあるのは、この七不思議によるものです。
下記の検証内容から推測すると、具体的には、休符の長さが約44.74秒以上になると、この現象が起こります。すっ飛ばされる休符の長さも約44.74秒で、余ったぶんの長さは無視されず残ります。たとえば休符が50秒続くなら、5秒少々の休符が残りますし、89.5秒くらい続くなら、ちょうど2回ぶんなので、すべて飛ばされます。
この現象の回避方法も、やはり無音音符です。休符が長くなりすぎないように、途中のどこかに無音音符を挟みましょう。テンポ指定を挟んでも、この現象の回避には効果がありますけれど、休符の直後にテンポ指定を置くと前述の七不思議に見舞われますから、やはり無音音符が必要です。
MusicQ改変よりも前の時代から、ずっと存在している現象です。
くわしい検証内容(折りたたみ)
どれくらいの休符の長さから正しくモーションしなくなるのかを探っていきます。検証用のMMLを載せました。
まずはテンポ120の例です。1番目のMMLは正しいモーションになります。2番目のMMLは演奏開始直後に末尾の音符のぶんのモーションをしてしまい、以降動きません。2番目のほうが、1tickだけ休符が長くなっています。以降の例もすべて同様です。
MML@t120l1.rrrrrrrrrrrrrrr1r3r28l8dddd;
(休符の長さ:44.734秒)MML@t120l1.rrrrrrrrrrrrrrr1r3r26l8dddd;
(休符の長さ:44.740秒)
次はテンポ121の場合です。
MML@t121l1.rrrrrrrrrrrrrrrr18l8dddd;
(休符の長さ:44.737秒)MML@t121l1.rrrrrrrrrrrrrrrr17l8dddd;
(休符の長さ:44.742秒)
テンポ255(最大値)の場合。
MML@t255l1.rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr1r28l8dddd;
(休符の長さ:44.738秒)MML@t255l1.rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr1r26l8dddd;
(休符の長さ:44.740秒)
テンポ32(最小値)の場合。
MML@t32l1rrrrrr2.r5r64l8dddd;
(休符の長さ:44.727秒)MML@t32l1rrrrrr2.r5r54l8dddd;
(休符の長さ:44.746秒)
ほかのテンポでも調べました。長い休符の前に音符をいくつか置いた例も試しました。
いずれにしても、休符の長さを秒数に換算することで、法則性が確認できました。
〈休符の長さ(tick)÷96÷テンポ(BPM)×60〉を計算すれば、所要秒数が求められます。(4分休符が96tick。たとえばテンポ120なら、4分休符ひとつの長さは、〈96÷96÷120×60〉で、0.5秒です。)
ハンドベルで演奏が大成功すると、モーションが棒立ちになる
スキル大成功時のいわゆる「あらぶり」モーションが、ハンドベルに用意されていないらしく、ベルを振らずに突っ立ったままのポーズになります。演奏音への影響はなく、見た目だけの問題です。
棒立ち関係でいうと、このほかにも、歌ランク5以上でマイク以外を装備して歌を唄った場合も、モーションが変化しません。こちらは、もともとそういうものなのでしょう。また、幻惑の演奏スキルをシロフォンで使った場合、歩かないと演奏モーションが出ない、という現象もあります。
ほか、ペットやパートナーに食べ物やポーションを与える、ピエロ(コロッサス)マリオネットスキルを使う、ゲームクライアントのウィンドウを動かす、などの操作をすると、(演奏に限らず)実行中のスキルのモーションやしぐさエモーションがリセットされます。スクリーンショットを撮る際には気をつけたいところです。
フリースタイルジャムのミニゲームによる体型変化をリセットできる
フリースタイルジャムのミニゲームに失敗したとき、巨大化したりミニマル化したりします。その体型変化をすぐさま元に戻す方法があります。
2024年9月12日に「演奏中に人形術の人形が召喚でき、フリースタイルジャムのミニゲームによる体型変化をリセットできる」という見出しでここに説明を書きました。そのあと、何人かで検証してみたところ、新事実が見つかったので、もっと徹底的に調べて、9月16日、マビノギのフリースタイルジャムによる演奏のページに「ミニゲーム失敗時の体型変化がリセットされる条件」の節を立て、改めて記事をまとめました。そういうわけで、詳しくはそちらのページを読んでください。
以下は、新事実が見つかる前の記述です。内容そのものに間違いはべつにありませんけれど、もっといい方法がある、という意味で「古い記述」です。(もはや不要になったからといって、いちどウェブで公開したものをむやみにばっさり消すと信用をなくすので、当面は残します。のちのち折を見てコメントアウトなり削除なりする予定。)
古い記述(折りたたみ)
人形術才能に属するスキルに、「ピエロマリオネット」「コロッサスマリオネット」があります。ピエロやコロッサス(以下まとめて「人形」)を召喚・召喚解除するスキルです。実際に人形をあやつるにはハンドルを装備しないといけませんけれど、これらのスキルで召喚・召喚解除するだけなら、ハンドルの装備は要りません。
そして、ほかのスキルを使用・準備しているときにもこれらのスキルが起動できます。演奏スキルの使用中にも使えます。もちろん演奏しながら人形をあやつることはできません。人形を召喚・召喚解除すると、自キャラのモーションがリセットされて、ふつうの基本姿勢になってしまいます。(演奏系のスキル・アクションのうち、「幻惑の演奏」のみ、モーションのリセットの影響を受けません。)チェロの場合は、基本姿勢ではなく、椅子に座る動作を繰り返します。ピアノ、ドラム、ハープを使っている間は、人形が召喚できず、召喚解除のみ可能です。
それだけだったら、ここで取り上げるほどのことではありません。この七不思議は、フリースタイルジャムのときに特筆事項になります。フリースタイルジャムのミニゲームに失敗したとき、体が一時的に巨大化したり小さくなったりします。この体型変化も、人形の召喚・召喚解除によってリセットできます。エリン音楽ひろば 2024年7月の記事でも触れたとおり、ミニゲームによる体型変化を嫌うひともいます。そういう観点では役に立つ技かもしれません。ただし演奏モーションも止まってしまいますけれど。(そのあとスポットライトを浴びてあらぶりモーションになれば、演奏モーションが復帰するようです。)実際のようすを動画で載せました。
こまかい補足をひとつ。環境設定の「自動武器スロット転換」がオンの状態で、かつ、武器スロットの裏側にのみハンドルを持っているときは、別のスキルを使用中に「ピエロマリオネット」「コロッサスマリオネット」を起動しようとしてもなにも起こりません。
一部のアイテムを装備しているとフリースタイルジャムに参加できない
フリースタイルジャムの主催者以外は、楽器を持たなくてもフリースタイルジャムに参加できます。このとき、特定のアイテムを左手側に装備していると、『楽譜に誤りがあるか、演奏を開始できない状態です。』というメッセージが表示され、演奏に参加できません。
問題となるのは「右手に特定のアイテムを装備しているときのみ、左手に装備できるアイテム」のようです。矢、エサ箱、型紙、図面、エンチャントスクロール、ピエロ(コロッサス)ミニチュア、これらについては確認済みで、ほかにもまだあるかもしれません。一例を挙げると、弓を装備したままでもフリースタイルジャムに参加できますけれど、弓と矢を両方装備している場合はだめです。
一部の楽器の存在が各種ウィンドウで考慮されていない
作曲スキルウィンドウと吟遊詩人掲示板では、空き瓶、ハンドベルが選択できず、試聴時の女声・男声の音色が韓国版になっていて、幻想のコーラスにも対応していません。未登場のお祭り楽器は選べるのに。
合奏パーティウィンドウで確認できる各メンバーの装備楽器も、空き瓶とハンドベルは対象外で、アイコンに反映されません。哀しいものです。