エリン音楽ひろば 2023年10月

オンラインRPG『マビノギ』で、2023年10月26日に開催したプレイヤーイベント「エリン音楽ひろば」の内容を載せています。

第13回、タルラークサーバーです。主催は、羊野めろさんと、わたし(シラベルカ)です。

このページで扱っている『マビノギ』のゲーム画像やゲーム内データの知的財産権は、株式会社ネクソンおよび韓国NEXON社に帰属します。© NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd.

内容のまとめ

内容は、羊野めろさんのブログ記事もあわせて参照してください。

出てきた話題・質問を以下に要約しています。当日に言及できなかったこともいくらか補足しました。

文字数の関係で(イントロだけ)楽譜を分けて合奏するような場合、あとから加わるパート(例えばドラム)の人は譜面を装備して、合奏コマンドをしなければいいんでしょうか?

〈合奏パーティのリーダーより先に合奏アクションを起動しておく〉(以下、これを「合奏スタンバイ」と書きます)ことで、合奏に参加できます。合奏パーティのメンバーであっても、合奏アクションを使っていなければ合奏に参加しませんし、ドラムやピアノやハープを設置しただけの時点では、合奏スタンバイ状態になっていません。

ひとつの曲を途中で分けた上で続けて弾く、いわゆる「連奏」は、ソロ演奏であればとくに説明の必要もないと思いますけれど、合奏の際にはどういう手順になるのか、図示してみました。

画像1:合奏の連奏例・前半

画像1で説明している手順を文章で書くと、

  1. まず、先に弾く曲を担当するメンバーだけが合奏スタンバイ。
  2. そしてリーダーが合奏を開始する。
  3. その合奏中に、続けて弾く曲の為に残りのメンバーが合奏スタンバイしておく。

このあと、複数のやりかたが考えられるでしょう。ふたつの例を取り上げます。

画像2:合奏の連奏例・後半Aパターン

画像2で説明している手順は……

  1. リーダー以外のパートが、ひと足早めに演奏を終える。(そうなるように先の曲のMMLを構成しておく)
  2. いま弾き終えたメンバーは、リーダーが弾き終わる前に、続けて弾く曲の楽譜と楽器に持ち替えてから合奏スタンバイする。
  3. リーダーが演奏を終える。すぐさま、続けて弾く曲の楽譜と楽器に持ち替える。
  4. リーダーが合奏を開始する。

これは、たとえば先に弾く曲が3人合奏で、続けて弾く曲が5人合奏の場合に、5人で賄えるパターンです。ただし、先に弾く曲が終わってから、リーダーが楽譜と楽器を持ち替えるまで、どうしても間が空くのが難点です。(第1楽章と第2楽章、というような)組曲形式なら、間が空いても構わないでしょう。

画像3:合奏の連奏例・後半Bパターン

画像3で説明している手順は……

  1. リーダーのパートが、ひと足早めに演奏を終える。(そうなるように先の曲のMMLを構成しておく)
  2. 先の曲の末尾にさしかかったあたりで、タイミングよく、リーダーが合奏を開始する。
  3. 先の曲を弾いていた残りのメンバーの演奏が終わる。

こちらは、無音の隙間をつくりたくない場合の手順です。先の曲が終わる瞬間に、次の曲を残りのメンバーで始めてしまうというパターンです。

たとえば3人・5人の合奏であれば、リーダー以外にそれぞれ2人・4人要るので、7人で合奏パーティを組まないといけません。

「タイミングよく」というのがちょっとぼんやりした説明かもしれませんけれど、どのくらいタイミングがシビアになるかは、曲の性質にもよりますし、均一なビートを刻む曲の連奏はそもそも困難だと考えられます。無音とまではいかなくても、ちょっと静かになってから展開が大きく変わるとか、そういうところを継ぎ目にするのがいいでしょう。

先に弾いていたメンバーもそのまま演奏を続ける、というやりかたも考えられます。ただし、演奏会などの場だと、合奏でタイミングをぴったり合わせるのは、通信の遅延などもあるので、すべての聴き手に満足な演奏を届けられる保証がありません。なにより高難易度です。動画にして結果を固定するのであれば、何度もリトライすれば可能でしょう。あるいは、タイミングがさして重要でないようなフレーズ(アンビエント系でよく使われるようなぼんやり漂う音)なら重ねることもできるでしょう。

2人か3人くらいの規模で、間がちょっとだけ空いてもいいなら、そんなに連奏は難しくありません。

文字数の問題さえ解決すればよいのであれば、ザブキエルの楽譜集を使って1本にまとめる手もあります。そもそも、16人規模の大合奏でないなら、人数を増やすことで1本にまとめることもできますね。

和音に合う可能性のあるメロディーの音、あるいはその逆を提案してくれるアプリを作ったとしたら、そういうのってマビノギ界隈で需要があると思いますか? あるとしたら、どういう機能があると嬉しいですか?

いろいろコメントが挙がって、結論としては、コード単体より「コード進行」について提案してくれる機能が望まれている、というところでした。

まあ、マビノギ界隈で需要が、といわれてもよくわかんないですね。演奏家同士の横のつながりがものすごく広いひとたちもいれば、あまりないひとたちもいます。無論わたしは後者ですから、みんなどうしているのかあんまり知らないのです。それが知れたらいいなとも思ってひろばをやっているのですけれど、ひろばによく来ていただいている顔ぶれがマビの演奏界隈の縮図ともいえず……。

件のアプリについては、すでに公開されています。「和ねこ」と名づけられています。

ここに書いていた内容があっという間に古くなったので、マビノギMML作成ソフトの簡単な紹介のページに「その他のMML作成支援ソフト」の節を新設して、そちらに「和ねこ」の紹介を移しました(2023年11月27日追記)

個人的には、リードミーや説明書に、いま書いたような説明とか、作者の意図とか設計思想とかがいろいろ饒舌に書かれてあると、(内容が高度でわからないところがあっても)ありがたく思うタイプです。

「演奏手伝いお願いします、4人です。並びは左から、私、Tフルート+カワラヒワ、ピアノ(ザブキエルの楽譜使用)、Tバイオリン+アカショウビンになります」――このように、揃えるのが困難な楽器が集まった合奏を演奏したいとき、皆さんはどのような手立てを打ってますか?

チューニング楽器、ザブキエルの楽譜集、唄う鳥ペット、これらは楽師のなかでさえ、持っているひとが限定的になります。こういう合奏の募集や準備のしかたについての話題でした。

これらのなかで、まず、唄う鳥ペットについては、貸し借りもできないので次元が異なると思います。自分で担当する、あるいは鳥ペットを持っている知り合いに頼んでおく、という方法しかないでしょう。現行販売のヤイロチョウならともかく、ほかの2種類の鳥ペットを組み合わせた合奏については、きわめて実現が難しいといわざるを得ません。

質問の例のような極端な合奏編成は、どうしますかという以前に、そもそもつくろうと考えません。

昨今の演奏会を見ていると、「並びは(前列から順に)3-5-4です」のように人数だけ明示するのが一般的になっています。その上で、女声・男声およびチューニング系楽器については、特記することが多いようです。また、ハメルンのチューナーが必要であってもとくになにも告げないのが多数派になりつつあるようです。

プレイヤーキャラの男女比は、女性キャラが多い傾向があって、合奏パーティに加わったメンバーに男性キャラがひとりもいない場合が多々あるので、男声だけ先に募集をかけるほうが無難です(男声1名含む8人合奏で、自身は女性キャラならば、まず2人パーティをつくって男声を募集し、それから8人パーティに設定しなおして残りの6人を募集する、という形)。マイクは貸し借りできても声帯は貸し借りできませんから。

それに比べると、チューニング楽器、あるいはハンドベルや空き瓶に関しては、持っているひとが貸せば済みます。合奏リーダーが必要ぶんだけ楽器を揃えておき、間違いなく貸せるようにしていれば、とくに事前の根回しは必要ないと思います。

小太鼓など、店売りの楽器なら誰でも持ち歩いている、というわけでもありません。たいてい、メンバー間で貸し借りして滞りなく進みますけれど、合奏譜面とともに、楽器も必要なぶんすべて持参して臨むと安心です。

ザブキエルの楽譜集についても、「初期化」機能がついたから貸し借りできるようになりましたけれど、楽譜集と複数の楽譜スクロールをもらって、各スクロールを間違いないよう順番に楽譜集にセットし、それから演奏後に初期化してから返す、という煩瑣でやや特殊な手順を、その場募集のメンバーにいきなり求めるべきものではない、という意見もあります。たしかに、手順が多いと単純に時間がかかったりトラブルを誘発したりするので、演奏会では事前に知り合いに頼んで楽譜集を持たせておくほうがいいでしょう。

ただし、そういったことが(暗黙の)ルールやマナーとして演奏家や演奏に参加するひとたちのあいだで広く意見の一致[コンセンサス]を得ているのかは、よくわかりません。

「知り合いに頼んでおく」と口でいうのはかんたんなのですけれど、さきほども書いたように、横のつながり、人脈があまりないひともいるわけです。でも、まあ、新規のひとにはみんな優しいので、「あまり詳しくもないし楽器もぜんぜん揃ってないけれど、チューニング楽器入りの合奏をやってみたい」というような気持ちがあるなら、ためらわずに舞台に出て募集をかけてみるのがいいと思います(あるいはエリン音楽ひろばへどうぞ)。たぶんなんとかなりますから。慣れていくうちに、こういった下準備や配慮も万全になっていくし、逆にいつもなにかをやらかして手間取っていると、聴衆の信用を失いかねない、ということです。

企画コーナー・まるばつクイズ

休憩を挟んで、後半は「[まる]×[ばつ]クイズ」のコーナーを企画しました。

会場を左右に二分してそれぞれを○と×のエリアとして、時間内にどちらかのエリアに移動することで○か×かの意思表示をしてもらい、正解数を競う、というゲームです。

練習問題を1問挟んで、本篇開始。全部で16問出しました。出題内容を以下に載せます。

ひとつの合奏パーティには、最大8人参加できる。
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2017年1月のMusicQ改変から、最大16人での合奏ができるようになりました。

吟遊詩人掲示板の楽譜投稿総数がいちばん多いのはタルラークサーバーだ。

画像4のように、タルラークが断然トップです。ただ、トップだからどうだ、ということはないのですけれど、タルラークで開催の回だったので、ちょうどいいネタでした。

画像4:吟遊詩人掲示板のサーバーごとの投稿数
おまけの調査記事(折りたたみ)

ちなみに、吟遊詩人掲示板の実装以来、どのように楽譜投稿数が推移してきたのかを、グラフで示してみました。

画像5:吟遊詩人掲示板のサーバーごとの投稿数

サーバー別に色分けした折れ線グラフです。調査した時点を丸で打点しています。定期的に調べていたわけではないですけれど、データとしては充分な分量でしょう。とはいっても、増加のしかたにさして特徴は見られません。おそらく実装直後が、いちばん頻繁に投稿があったはずです。

2022年11月の改変でネイルの評判獲得方法が変わって、あの忌まわしい「自分が吟遊詩人掲示板に登録した楽譜が推薦される」などが条件から外されたし、評判ポイントを稼ぐ為に「ネイル用」「イヴォナ用」の無音楽譜を載せるひとも減ったはずですから、がくんと増加ペースが落ちるかなと思いきや、それほどでもないようです。

途中経過の楽譜数などの詳細なデータは、わざわざ載せる意味もないので省きます。

グラフを見ていちばん意味深なのは、64bit改変直後にマリーとルエリで楽譜が激減している件でしょう。これは単に、わたしが掲載をほぼすべて取りやめたからです(タルラークにはもともと載せていなかった)。それまで合奏譜面の3割ぐらい、わたしの作品が占めていたようです。かように一個人の動向がおおきな比重を占めるわけですし、サーバーごとの傾向をどうのこうのと考える意味はないですね。

おなじ高さの音符同士をつなぐ「タイ記号」を、マビノギMMLでは「&」で表わす。

基本的なコマンドではありますけれど、作譜の際にMMLを手入力しないひとのほうが多いので、案外知られていないのかもしれません。

「熱狂のマンドリン」を弾くと、まわりのプレイヤーがダンスをする。

タルラークの定期演奏会「演奏家の集い」の記念撮影時でもおなじみ、エモーション楽器についての問題です。ダンスといっていいのか微妙な動作ですけれど、しぐさエモーションの名前は「ダンス2」です。マビノギの楽器の詳細のページにエモーション楽器のかんたんな説明もあります。

ペットでログインしているときも、「集中観賞モード」が使える。
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「召喚物は集中観賞モードに切り替える事ができません。」という表示が出て、集中鑑賞モードのボタンが押せません。

五線譜のト音記号の横に記した、「C」のような形の記号と、「4/4」の記号:このふたつの記号はおなじ拍子を表わす。

4分の4拍子を表わします。楽譜を参考にしてMMLを書くことがあるなら、覚えておくとよいかもしれません。マビノギMMLそのものには、拍子を指定するコマンドはありません。

「ぶくぶく ぶどういっぱい」は、ブラゴ平原で流れるBGMだ。

マス音楽ダンジョンに、曲名当ての仕掛けがあり、そこでこの曲の名前も出てきます。ほか、マビノベルエディターでも曲名がわかります。対応する素材集を持っていないといけませんけれど。

マビノギ演奏コンテスト応募作品「ぶくぶく ぶどういっぱい アンドモア!」制作裏話のページもよろしく。

いまから弾く曲は、フィリアのNPC「メレス」のBGMだ。
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その場で演奏できるわけだから、ひろばらしく、演奏を聴いて答えてもらう問題も用意しました。みんな馴染みのあるNPCということで、ティルコネイルのNPCの「エンデリオン」のBGMを一節弾きました。さすがにちょっと、かんたんすぎたようです。音源は載せません。

アルペジオコンサートホールのレンタル料金は1回100万ゴールドだ。

マビノギのアルペジオコンサートホールのページの「ホールを借りる手順」の節を参照。高すぎるのかどうかはプレイヤーによるかもしれませんけれど、利便性があれなので、やはり使われることはごくわずか。きっと慢性的な赤字経営に違いありません。

シンバルは、o3d+ (オクターブ番号3 のレ♯で鳴らしたときだけ、音色が異なる。
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〈o2d+〉が正しい。この高さの音符のみ、いわゆる銅鑼の音が鳴ります。なお、〈d+〉でも〈e-〉でも(つまり〈レ♯〉でも〈ミ♭〉でも)、おなじことになります。

空き瓶は、ドからシまでの7種類いずれも、地面に落としてから消えるまでの時間が等しい。
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ひとつ前の問題あたりで実際に瓶を落としておき、実際にどうなるか目撃してもらいました。なぜかラの瓶だけ売却価格が高くて、地面に落とすと60分後に消えます。ほかの瓶は6分半で消えます。

マイクを使って、ひとりで3パートを同時に唄う方法がある。

マビノギのフリースタイルジャムによる演奏のページの「フリースタイルジャムを使って歌声をひとりでハモる」の節に説明があります。

マイクは、「魔法の染色クエイバー」で染色できる。
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楽器の染色は、ふつう楽器色指定染色アンプル、楽器塗布スプレー、魔法の染色クエイバーでできるのですけれど、なぜかマイクはふつうの染色アンプル、または金属染色アンプルが対象となっています。店売りのマイクなど、実装時期が古めのマイクが金属染色で、もうちょっとあとから登場した、おもにランダムボックス産のマイクが通常の染色アンプルで染められます。

作曲スキルが1 になる「作者未詳の歌 -下-」は、大食い温泉ザルに「えびの天ぷら」をあげると低確率でもらえる。
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「えびチャーハン」または「野菜スープ」が対象です。マビノギに関する雑多な調査資料のページに、これに関する調査を載せています。

アルパカ種のペットを呼び出した状態でリュートを演奏すると、アルパカが踊る。

めろさんが実演しました。画像6のように(静止画ではわかりにくいけれど)、ステップを踏んでくるくる回ります。アルパカのほか、クマやパンダなどでも同様です。これらのペットは、フルートなどの場合は反応しません。

画像6:アルパカが踊る
マビノギの演奏は楽しい。
どちらでも正解

最後はサービス問題でした。さすがにみなさん、○のほうに行きましたけれど、楽しいばかりではない(から楽しい)のですし、答えはみなさんそれぞれの心のなかにある、ということで。

出題内容については、わたしが大体のところを決めて、めろさんも数問アイデアを出しました。

こういうクイズものに関連して、だいぶ昔、「マビノギ楽師検定」と称して、「クイズメーカー」にて問題を載せたことがありましたので、ここで紹介。

解答とあわせて読めば、女声の無音調律などの豆知識がいろいろ得られるのがウリ、のつもりでしたけれど、あまりに難問すぎておおかたのひとにスルーされてしまった感もあります。

その反省を踏まえたわけでもないですけれど、今回は、あくまで間口のひろいエリン音楽ひろばですから、なるべくとっつきやすい問題にしました。簡単すぎると全員優勝みたいなことになってしまうし、当たり前すぎる問題をならべても退屈するし、いや、難易度がどうのというより、楽師であってもそうでなくても、答えを聞いて、ほうほう、と思ってもらえるような内容にしたかったのでした。

スクリーンショット集

画像7:質問・相談コーナー

質問・相談コーナー。22時になるすこし前くらいの風景です。今回も平和。テスト演奏は今回ありませんでした。

画像8:休憩中

主催ふたりともBGMが新曲。ソファミン(わたしのラグリンネ)の服も新品(たぶんすぐ着せ替えますけれど)。この休憩時間にも、ラグリンネのこと、演奏中のチャットのことについての話題が出ていました。

画像9:○×クイズ中

クイズのようす。各参加者の正解数をうまくカウントできるかが主催側の懸念材料でしたけれど、サポート役のかたがうまくこなしてくれました。

画像10:表彰式

優勝者には称讃と拍手が贈られました。おめでとうございました。こういう場面では「4位表彰台」が大道具として役に立つので、開会直前までめろさんはサブキャラの荷物をひっかき回していたのですけれど、ないので「花火円形舞台」で代用。

画像11:記念撮影

23時40分ごろ、閉会時の記念撮影です。みなさんありがとうございました。1年後の開催では、めろさんがハロウィンシーズン向けの合奏を披露することになる予定です。