エリン音楽ひろば 2025年2月
オンラインRPG『マビノギ』で、2025年2月23日に開催したプレイヤーイベント「エリン音楽ひろば」の内容を載せています。
第20回、マリーサーバーです。主催は、羊野めろさんと、わたし(シラベル)です。

このページで扱っている『マビノギ』のゲーム画像やゲーム内データの知的財産権は、株式会社ネクソンおよび韓国NEXON社に帰属します。© NEXON Korea Corporation and NEXON Co., Ltd.
内容のまとめ
内容は、羊野めろさんのブログ記事もあわせて参照してください。
出てきた話題・質問に関するやりとりの要約と、当日に言及できなかったことを書いています。
- ブロニーのリュートくらいしかもってないんですが、ブロニーリュートの次におすすめな楽器はありますか?
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演奏の入門としておすすめな楽器の音色とは、という趣旨の質問。まず、マビノギの楽器アイテムには、デザインだけが違うものが多数あります。名前に「チューニング」という語が含まれる楽器を除いて、たとえばイポメアグローリーフルートもディアボリックフルートもミルキーウェイフルートも、おなじフルートの音色が共通で出ます。リュートも同様です。「ブロニーのリュート」というのはメモリアルフラワーリュートのことで、チュートリアルクエストを進めるともらえる楽器です。もともと専用化属性がついていて改造済み、という点を除いて、演奏の性能としては店売りのふつうのリュートとおなじです。
ソロでも合奏でも、ピアノやマンドリンはよく利用されます。昔と違ってピアノは競売場で店売り楽器並みに安く買えるようになりました。もっとも入手しづらいのはハンドベル、やや入手しづらいのがチューニング楽器で、そのほかはすこしお金をためればひととおり揃えられるようになりました(時期によっては流通のすくない楽器もあります)。
リュートとマンドリンとウクレレは、発音域が共通しているので似たような感覚で使えますけれど、ウクレレはあまり音が伸びないので、リュートやマンドリンに比べるとややソロ向きではありません。
おとなしめの曲が好きならリラも推薦できます。2人以上の合奏曲をつくるなら、メロディ担当としてフルートなどの笛類が役立ちます。
楽器の種類については、マビノギの楽器の詳細のページで網羅していますので、どうぞ参考に。
- (MMLについて情報集めようとしても)もう昔のサイトはことごとく閉鎖してて。みんな最近、どこのサイトつかってるの?
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はい、「コリモセーズ/シラベルのウェブサイト」というところの、マビノギMMLガイドを参照してください。現状、いちばん専門的な情報がまとまっている記事だと思います。
近年は、ツイッターなどで流れてくる知見を拾うひとが大半だと思います。でも、MML演奏関係の情報共有はそんなに活発に見えません。ほかの演奏家のみなさんは、どこを手引きにしているんでしょうね。うちのサイトに書いている知見の多くは、なかなか広まっていないようだし、あまり記事が読まれていないんだろうなというのが実感です。
とはいえ、先日、ダンバートンの街角でインタラクション歌詞出しをしているひとを偶然見かけて、わたしのやりかたを参考にしているさまがあきらかだったので、ちょっとびっくりしました。自分が思っているよりかは、いろんなひとに読んでもらえているのかもしれません。
ちなみにゲーム内には、MML作品を公開する場として「吟遊詩人掲示板」が用意されています。
- セブンスが、(不協和なのに)テンションじゃなくコードトーン扱いなのはどうしてでしょう?
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まず、西洋クラシック系の理論では〈ド・ミ・ソ〉のような3和音を大事に考えるのに対し、ジャズ系の理論では〈ド・ミ・ソ・シ〉のようなセブンス系の4和音を基本的なコードとして扱います。(3和音の〈C〉と書くより、4和音の〈CM7〉や〈C7〉と書くほうが、コード進行上の役目がはっきりする、などの利点があるようです。)セブンス系の4和音のさらに上に音を加えたとき、その音をテンション・ノートと捉えます。
そういう前提のもとに学んだジャズ畑のひとからしてみれば、どうしてなのっていわれたって、そりゃマァそういうもんでしょ、アナタ、という返事になってしまいそうです。
〈ド・ミ・ソ〉の和音がきれいに響く(協和する)のは、数学的にも説明できて普遍的です。それに比べて、9度・11度・13度の音を上乗せしたコードをテンション・コードという、なんていうのは、さほど普遍的な話ではありません。雅楽をそういうやりかたで分析したら、テンションだらけの落ち着かない音楽だということになってしまいます。
ともあれ、ジャズ系の理論では、9度以上の(1オクターブよりも上の)音をテンションと扱うのがスマートで都合がいい、そしてそれがジャズにかぎらずポップス一般での語法になっている、というふうに考えればよさそうです。
……というのが、今回の記事を書くにあたって、自分なりに理解したことです。ひろばのときにはこういうふうに考えることができなかったので、苦し紛れに次のような思いつきを話しました。〈G7―C〉の進行のような「解決」を扱うとき、セブンスの音がもともと重要なので、「その他のつけ足しの音」みたいな扱いにする発想にならなかったのではないか、と。
この質問とつぎの質問にも多少関係して、文章でちゃんとまとめておく必要を感じて、当サイトの記事向けの音楽用語集のページに「テンション」の節を新たに書きました。あわせてお読みくださいませ。
- アヴォイドノートって初心者っぽさが出るという話を耳に挟んだのですが、皆さんはどれくらい意識しますか?
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こちらも、ジャズ系の理論にまつわる質問です。
たとえば、Cメジャーの音階(〈ドレミファソラシ〉)を使っていて、Cメジャーコード〈ド・ミ・ソ〉を使う箇所で、メロディに使う音はどれがよく馴染むかを考えるとします。(とっつきやすくする為に、あえて単純化して、3和音で説明します。)
〈ド〉と〈ミ〉と〈ソ〉はコードの構成音なので当然使えます。それらに比べて、〈レ〉と〈ラ〉と〈シ〉はちょっと不純さがあるもののそこそこ合います。ところが〈ファ〉はコードとの相性が悪く、あまり目立たせてしまうと空気が読めない(コードの役割を邪魔する)異分子のような感じがしてしまいます。このとき、〈ファ〉は避けるべき音である、といいます。
コードの構成音に対して半音上の音を乗せると、コードの性質や役目をかなり変えてしまう、つまり別のコードに聞こえてしまいかねない、それが問題になりそうなら、メロディなどで使うのは控えめにしておくのが推奨、ということです。(いま挙げた例なら〈ファ〉はコード構成音の〈ミ〉の半音上です。)
コード構成音のどれかに着地するフレーズの途中にアボイド・ノートがちょろっと出てくるくらいは普通のことであり、とくに問題ありません。
曲づくりに役立てる目的なら、上の要点だけを心に銘記しておけば充分だと思います。「テンション・ノートのうち、場合に応じて、乗せやすい音と乗せにくい音とがある」という把握のしかたでもよいです。「ここ、なにかがおかしい気がするけれど、なにがおかしいのか、自分にはスキルがなくてわからない」という段階であっても、そういう考えかたが存在することだけでも覚えておけば、なにかをつかむきっかけが得られるかもしれません。
このアボイド・ノートというのは、ジャズの演奏に役立てることを狙いにして概念化されたものです。アドリブ演奏のとき「不用意に弾かないほうがいい音」をうっかり目立たせてしまわないようにする、コツの手引きに過ぎません。そういうコツが身についていないと、わたしの「ヒノキジャム」の数々の演奏のようになってしまいます。……自嘲が過ぎるかな?
打ち込みなどで曲づくりするのだったら、あとからいくらでも直せるし、アボイド・ノートの理論に深入りする必要はないでしょう。そもそも、テンションがどうの、アボイド・ノートがどうのとこまかく配慮するとかえってつまらなくなるタイプの音楽もあります。あくまでジャズの文脈で発達した理論から出てきた考えかただということは押さえておくべきです。スイカの種を「不用意に口に入れないほうがいい」からと、先にちまちまほじくり出してから食べるひとと、かまわずにガブリと食べてプップッと種を出すひと。どちらも好き好きです。
ただ、コードに合っていない音だと気づいていながら、これが個性だからいいのだ、とごまかすくらいなら、一度ちょっと検討してみましょう。おそらくそういう場合の多くは、伴奏のほうをすこし手直しするだけでずっとかっこよくなると思います。ぶつかる音を省いたり、思い切ってコードを別のものにしたり、いろいろ試すこと自体がけっこう学習になります。(先に挙げた例なら、〈ファ〉とぶつかる〈ミ〉を省いて、〈ド・ファ・ソ〉のサスフォー・コードにする手があります。その場合、次はふつう〈ド・ミ・ソ〉につなげていきます。)
質問されたかたは、理論解説系の動画で、アボイド・ノートがはいってるとよくないぞと力説している動画を観て、そこまで忌避すべきものなのか、というもやもやを感じたそうです。そうですよね。音楽理論を知らないことへのコンプレックスにつけこんで(?)、煽り気味のタイトルやサムネイルを打ち出している解説動画というのもたまにあったりして、でも内容は案外に穏当だったりもするのですけれど、もし断定口調な解説に出会ったときは、根拠があるのかどうかを見極めるべきです。音楽理論に限らず。
きちんとしたくわしい解説も、いっぱい見つかります。ここでは、以前の記事でも紹介した「SoundQuest」というサイトをまた勧めておきます。
ただし、ほかのページの内容が前提知識となっていて(独自の概念も含む)、やや専門的な記述です。というより、初歩的な理論をまだ会得できていないうちは、アボイド・ノートの学習なんて後回しにしましょう。
- 耳コピするときですが、最初ってベースから? どれともドラムから作ったほうがいいのかな?ってまよってます
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ベースの音とメロディと前後の展開から、ある程度コードの見当がつけられるなら、ベースから拾って先に打ち込んでおくと、曲全体の見取り図にもなるし良いかなあ、と思ったのですけれど、「ベースから打ち込むのは玄人向けのような気がします」との声が先に出たので、その場でいうのをなんとなく控えてしまいました。
また、コードの見当がついているなら、最初のうちにおおざっぱに仮トラックとしてコードの音も入れておくと、メロディなどの音の拾い間違いに気づきやすくできるかもしれません。
ドラムパートには、メトロノームっぽい単純なパターンだけ先に入れておくのが便利と思います。メロディの打ち込みから先に着手するスタイルであっても、そうしておくのが楽です。ドラムが主役の曲でないかぎり、ドラムパートをきっちり仕上げるのはあとのほうでいいはず。
ベースであれドラムであれ、リズム隊のパートから仮入力しておくのは、よい方法だと思います。
ひろばでは、そこから話が派生して、耳コピ支援ツールについての情報交換が中心に展開されました。歌声だけ、ベースだけ、というように音源から特定のパートだけ消したり残したりする機能も無料で使える時代になっていますので、そういうものを援用して音を拾っていくといいでしょう。
スクリーンショット集

この日、『黒い砂漠』のほうでも見逃したくない演奏会があり、ひろば開会時間の5分前まで粘って、そちらで踊っていました。それから素早くひろばの会場へ。21時半からBGMコーナーです。今回も3曲。わたしからは、その他のパブリックドメイン楽曲のMML置き場に載せている「アニトラの踊り」と、「温泉を掘る仕事」をお届けしました。

エリン音楽ひろば 2024年12月の記事で経緯を書いたのですけれど、結局、動画配信の件については「禁止の旨を、念を入れてアナウンスする」ことにして、ほかは従来の形式のままで行なうことにしました。ひろばはあくまでも、現地に集まっているひと同士でやりとりをする場なので、動画配信で外側から観られたりコメントされたりするのは、やはり趣旨にそぐわないという判断に至ったのです。
演奏会などのユーザーイベントでも、掲示板の告知や冒頭のあいさつでのアナウンスに、配信可否について言及されることが増えたようです。でも、冒頭でいうだけではあんまり伝わらないものです。途中から来場して、プレイヤー掲示板も確認せず、あるいはちょっとした勘違いをしたまま、だれかがもし配信しっぱなしでいたら、という場合に備えて、会の途中にも折りにふれて動画配信禁止のおしらせを挟む予定でいました。
実際には、1回挟んだだけになりました。いろいろしゃべったり仕切ったりしていると、すっかり忘れてしまいます。でも、あまりしつこくいっても雰囲気が悪くなるばかりの気もするから、そのくらいの頻度で済んでいたならそれに越したことはないんですけれどね。

いつも、お互いの衣裳にはあまり干渉しませんけれど、今回思いついて、スクールルックでふたり揃えることにしました。最後のめろさんの合奏曲が卒業シーズンの曲なので、それにちなんだチョイスでした。

合奏のテストもありました。マビノギの最近のアップデートで追加されたBGMをさっそくMMLにされていたようです。著作物利用ガイドラインについては前回のひろばで取り上げました。安心して弾ける曲がほんのすこしでも増えたのはよいことです。

終わりに、めろさんが書いたセンチメンタルな歌を合奏しました。あえてラグリンネのソファミンにポーズをとらせようとして失敗するなど、いくつかとちりを重ねてしまいました。めろさんすみません。さっき書いたような意図もあったのに、ドラム担当では服がよくわからないな……事前にもうちょっときっちり打ち合わせしておけばよかった。

ちょっと時間が延びてしまって、23時30分近くに閉会となりました。
来ていただいたみなさん、ありがとうございます。次回は2025年4月27日、ルエリサーバーで開催を予定しています。今回とおなじ感じでやろうと考えています。